登校渋る小学生、「発達障害」疑う親に伝えたい盲点 脳科学者が最新研究をベースにアドバイス

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今はもう大学生になった自閉スペクトラム症特性のある青年が言っていました。

『脳科学の先生! 子どもの発達障害の悩みを最新研究で解決してください』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「保育園ではお昼寝の時間が何より苦痛だった。みんなで同じ時間に寝なければいけない。僕は全然寝たくなかったし、その時間お絵かきをしていたかったのに、寝たふりをしなきゃいけなかった。小学校に入ると夜中寝られないとこっそり本やマンガを読んでたんだけど、親に見つかるとすごく怒られた。

中学校では夜中までゲームをしていて、やっぱり親に怒られた。僕は、睡眠時間が短くても大丈夫なタイプだったんだけど、親はよほど僕に早く寝て欲しかったんだろうと思う。僕自身も、みんなが寝ている時間に起きていることに罪悪感があった。でも眠れなかったんだからしかたがない。

『早く寝ないと学校に行けなくなるでしょっ!』親にそう言われ続けて、『学校に行かないなら早く寝る必要がない』と思った僕は、入学した高校に通うのをやめた。僕は眠れないということより、眠れないことで親が怒ったり悲しんだりすることの方がずっとつらかった」

その後この青年は、高卒認定試験を受けて合格。建築家になるために大学に通っています。このようにお子さん自身が眠れないことに罪の意識を感じてしまうようなことのないよう、上手にサポートしていきたいものです。

生活に支障がある場合はサプリメントも

もし、昼夜逆転など、日常生活に差し障るほど眠りの問題がひどい場合は、薬物を使った解決法もあります。「メラトベル」は睡眠ホルモン「メラトニン」と同じ構造をもつ薬で、眠気を促したり、睡眠のリズムを整える作用があります。アメリカでは薬局のサプリメントコーナーで普通に売られています。

日本でも2020年に、発達障害のある6~15歳の小児を対象に保険診療での処方が認められました。依存性が少ないとされている薬ですので、関心のある方は医師に相談してみてください。

キーポイント
・発達障害児の場合、ASDでは50~80%、ADHDでは25~50%の子どもに、睡眠の問題があるという研究結果が(定型発達児は25%程度)
・寝る前2時間はビデオなどの画面を見せない。朝日を浴びて早起きの習慣を
・寝られないことを責めない。睡眠サプリメントも利用してみては
久保田 競 京都大学名誉教授

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くぼた きそう / Kisou Kubota

1932年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業後、同大学大学院で脳神経生理学を学ぶ。米国留学で最先端の研究法を身につけ、帰国後は京都大学霊長類研究所で教授・所長を歴任。『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』『天才脳を鍛える3・4・5歳教育』など脳に関する著書多数。瑞宝中緩賞受章。

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原田 妙子 浜松医科大学子どものこころの発達研究センター特任助教

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はらだ たえこ / Taeko Harada

岡大学大学院修士課程卒業後、日本福祉大学大学院で久保田競に師事し博士号取得(人間環境情報)。専門は、子どもの脳機能発達。自閉症を中心とした発達評価のスペシャリスト。海外特別研究員としてコレッジュ・ド・フランス、パリ第六大学を経て現職

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