登校渋る小学生、「発達障害」疑う親に伝えたい盲点 脳科学者が最新研究をベースにアドバイス
Q.寝つきが悪く、本を6冊読んでも寝てくれません。どうしたら寝てくれるでしょう?
ふみこ(相談したい子の母、30代前半)、夫(30代前半)、長女(相談したい子、3歳)
娘は、なかなか夜寝てくれません。赤ちゃんの時から少し眠るとすぐに起き、お気に入りのビデオを見させたりしてまた寝かせて、を繰り返し、「朝になったら起きて夜になったら寝る」というリズムを作るのに苦労してきました。本を5冊、6冊と読んでもまだ寝てくれず。6冊読み終わると、また1冊目から読んで、とせがまれます。
毎日寝るのが夜11時とは、確かに遅いですね。ちなみに、欧米やアジアなど17カ国における0~3歳までの乳幼児の睡眠について調査した研究では、アジアの国々では欧米に比べて寝る時刻が遅く、総睡眠時間も短い国が多いのですが、特に日本の平均総睡眠時間は最も短く、11.6時間だったという報告があります。
睡眠時間が短い(2歳半~6歳までに10時間以下の場合)と、長い子と比較して多動や肥満の傾向が強まり、知能検査の数値が低いという研究結果もあります。また、大人でもそうですが、寝不足が続くとイライラして怒りっぽくなりがちです。子どもも同じで、睡眠不足や夜型傾向だと、攻撃行動が増すことがあります。
さらに、3歳時の総睡眠時間が9~10時間の子、8~9時間の子は、11時間以上睡眠をとっている子に比べて中学1年時の肥満のリスクがそれぞれ1.24倍、1.59倍高い、という報告もあります。
発達障害児では睡眠の問題がある割合は高い
また、発達に特性のあるお子さんの場合、娘さんのように寝付きの悪さや、夜中に起きてしまったりといった睡眠の悩みを抱える親御さんは少なくありません。子どもが寝てくれないと親も寝不足になるのでつらいところです。
参考までに、発達障害児の場合、ASDでは50~80%、ADHDでは25~50%のお子さんに、なかなか寝ない、起きない、寝過ぎといった睡眠の問題があるという研究結果があります(ちなみに定型発達児の場合、睡眠に問題のあるお子さんは25%程度)。
乳児では、まだ朝起きて夜寝る、という睡眠サイクルが定着していないのが普通ではありますが、後にASDと診断されたお子さんでは、生後6~12ヶ月で入眠の問題があったというケースが高い頻度でみられます。
発達障害は生まれつきの「脳の機能障害」で、それが睡眠の調整にも関係していると考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。感覚過敏のために少しの物音で起きてしまうとか、昼間のストレスが原因だとか、興奮しやすいせいだとかいろいろな理由があると思います。
ふみこさんは毎日6冊もの本を読み聞かせているとは、すごく努力をされているのですね。母親失格なんてことはないですよ。ご自分を責めないでくださいね。
娘さんは本が好きなようですから、やがて、自分で本を読むようになってくれるのではないですか。もう少しつき合ってあげてください。