登校渋る小学生、「発達障害」疑う親に伝えたい盲点 脳科学者が最新研究をベースにアドバイス

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過集中、切り替えが難しい、細かい作業が苦手、幼いといった息子さんの特徴からは、shumamaさんが疑っておられるように発達障害の特性が感じられます。言葉が堪能だと周りの人はわからないかもしれません。

でも、例えば、脳内のワーキングメモリー(一時的に記憶する能力)の発達に問題があると、黒板を写すのに時間がかかり、もたもたしているうちに黒板は消されてしまう、ということがあります。相当がんばらないとついていけません。

また、もしかしたら、一見楽しくおしゃべりしているように見えている友だち関係も、相当無理をしているのかもしれません。

どの部分がしんどいのか、息子さんが苦手なことはなんなのか、それを正しく評価してもらうために、一度発達相談を受けてみてはいかがでしょうか。

まずはスクールカウンセラーか発達支援センターに

発達相談は、その子の発達の凸凹を知るのに適しています。何が得意で何が苦手なのか。苦手なことがわかれば、その部分を補強することができます。これからも学校生活は続きます。まずは、息子さんの特性を客観的に評価してもらい、理解しましょう。学校のスクールカウンセラーの先生に相談して、どこに行けばよいのか教えてもらってもいいですし、地域の発達支援センターに相談されてもいいかと思います。

息子さんの父親や祖父母には心配しすぎ、と思われているとのことですが、実際に学校に行くのが苦しく、腹痛という形になって不適応が現れているというのは、甘くみていてはいけない状況だと思われます。

とはいえ、発達相談は今、どこの自治体でもかなり混んでいて、数カ月待ちということもありえます。とりあえず今、無理して学校に通わせ続けるべきか、というご質問には、どうか登校を強制しないでください、とお願いするしかありません。

何も手当をすることなしに無理して登校させ続けることで、ダメージが広がり、修復により長い時間がかかってしまうことがよくあるのです。しんどい原因がわかり、それに対する備えをどうするかわかるまでは、登校が本当にきついときには休ませてあげてはどうでしょう。登校しぶり、腹痛はSOSです。

それと同時に、少しでも行けそうなら、保健室でもいいから登校させてもらうなど、先生にお願いしてみてください。というのも、まったく学校に登校しない生活を続けるよりは、時には保健室まででも登校することで、朝起きて夜寝るという生活のリズムが保てますし、お友だちと話す機会も増え、気持ちの切り替えがしやすいことがあるからです。

息子さんの状態を見極めるのはかなり難しいとは思いますが、shunmamaさんは、どうか息子さんのいちばんの理解者になってあげてください。

キーポイント
・やれているように見えるのと、実際にやれているのは違う
・どの部分がしんどいのか、苦手なことを知るためにも発達相談を
・まずはスクールカウンセラーか発達支援センターに相談する
・登校を強制するとダメージが広がり、修復がより長引く
次ページ次は子どもの睡眠障害について
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