年末3万円回復?専門家6人「日経平均ズバリ予想」 メインシナリオは企業業績回復で尻上がりに上昇

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安値についても、前出の3人とも1〜3月の株価が底だとみる。

一方、「4月高値、年後半に向けて下落」と逆の予想をするのが、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストと智剣・Oskarグループの大川智宏CEO兼主席ストラテジストだ。

井出氏は、高値が4月の2万8500円、安値が7月の2万5000円と予想し、「春にFRBの利上げ停止が確実視され市場心理が改善する。だが、年央にかけて日銀の緩和縮小とアメリカの景気減速、円高(米長期金利低下)が逆風になる」と指摘する。

高値が4月の2万8000円、安値が10月の2万3000円とする大川氏も、「アメリカの景気後退が年央から深刻化し始めると想定。世界的な景気後退に巻き込まれる形で、日本も本格的な株式市場の下落局面へと突入する」と警戒感を示す。

ただ井出氏は、7月の安値(2万5000円)から年末には2万7000円程度にまで回復するとみている。「年末にかけてFRBの利下げ観測や2024年以降の景気回復観測が強まり、株価は徐々に戻る」と語る。

中国・欧州銘柄が狙い目

さまざまな波乱要因が見込まれる中、個人投資家はどのように動けばよいのか。

東海東京の長田氏は、「当面は内需・リオープン(経済再開)、高配当銘柄中心の保守的な運用が望ましい。中国経済の回復や、懸念されていたほどひどくはない欧州経済の恩恵を受ける銘柄には、投資妙味がある」と説く。

SMBC日興の安田氏は、「(市場環境のよくない)5月ごろまでは、来期経常増益率の高い銘柄や来期経常利益を上方修正した銘柄を中心に狙いたい。EPS(1株当たり利益)予想が底を打つ夏以降は、TOPIX(東証株価指数)との連動性が高い銘柄(高ベータ株)などを中心に保有したい」と助言する。

日経平均株価が映し出された株価ボード
国内企業の業績が上向き、日経平均は上昇か(撮影:尾形文繁)

智剣・Oskarの大川氏は、「世界景気の後退懸念、円高ドル安の進行の可能性、日本のインフレ進行と金利上昇リスクなどを総合的に勘案すれば、小売りやサービス、情報通信などの内需系業種の割安株(高配当利回り株など)を丁寧に拾っていくべきだ。また依然として価格転嫁が進んでいない日本企業も多く、積極的な値上げで今後利ザヤが改善する銘柄も増えるだろう。足元で増収・減益の企業が狙い目」と語る。

専門家には24年以降の日本株の市場の行方についても聞いた。

SMBC日興の安田氏は、「24年は23年よりも世界経済が回復する可能性が高く、電気機器を中心とした製造業の業績回復に期待できる。製造業のウェートが高い日本株は相対的に優位となるだろう」と予測。また、ニッセイ基礎研の井出氏も、「TOPIXや日経平均は中長期的に5%程度の上昇が見込まれる」としている。

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