誘いを断っても「感じがいい人」が言うほんの一言 「うーん、お察しします」気まずい空気はこう避ける

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何かをお願いされたり、頼まれたりしたものの、それに応えられないとき。相手としては、話をきちんと聞いて状況を把握してくれたうえで、「できるかぎり協力したい/応援したい気持ちだけれど、それでも実現は厳しそう」という思いを伝えられると、結論としては同じ「できない」であっても、穏やかに納得する気持ちになれるのではないでしょうか。そんな効果を持つちょい足しことばが「うーん、お察しします」です。

Aさん:明後日のプレゼンまでに、もう1つ、企画を用意しておきたいのだけれど……。
Bさん:この期間では難しいのではないでしょうか。

Bさん:うーん、お察しします。ただ、この期間では難しいのではないでしょうか。

短くてシンプルゆえに、できない理由をあれこれ説明されるよりも、ずっと自分の立場を理解しようとしてくれているように感じるものです。

具体的にまず「うーん」と小さく声に出して、「考えてますよ」の気持ちを伝え、それから「お察しします」だと、「事情は理解できる→でも、こちらも応えるのは難しい→申し訳ない」という相手に寄り添う気持ちが伝わります。

人によっては「そう簡単に、あなたが私の気持ちをわかるはずない」と感じる人もいますので、この「うーん」とちょっと考える声は意外に大切なのです。

また次も誘おうと思える

お誘いに対して、本当は行きたいけど断らざるをえない。相手もきっと残念な気持ちになりそう……。そんな場面でも、シンプルな本音をひとこと入れるだけで、相手の気持ちは一瞬でやわらぎます。嫌な思いをするどころか、むしろ「この人に声をかけてみてよかったな、また誘おう」というふうに感じるはずです。それが「でも、うれしいです」。

Aさん:今から清水さんと吉川さんと飲みに行くけど、藤井さんも、一緒にどう?
Bさん:今日はまだ仕事が残っていて、すみません。
 ↓
Bさん:今日はまだ仕事が残っていて、すみません。でも、うれしいです。

「うれしい」と言われれば、誰でも気持ちがあたたかくなるもの。

『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

同僚など近しい関係性であれば「またの機会にお願いします」「また誘ってくださいね」といったことばをさらに足すのもよいですね。

「スケジュールが合わずに残念です。でも、うれしいです。またぜひ誘ってください」と次につなげていけば、相手の「断られた感」は、その瞬間になくなっているでしょう。

断られると次に誘いづらい、とはよく言われること。また機会があればご一緒したいと思っているのであれば、相手が次に声をかけやすいよう、気持ちの負担を残さないようにするのも礼儀であり、簡単にできる、すてきな気づかいです。

お断りしなくてはいけない場面は、とくに、断られた相手がどんな気持ちになるかを想像することが大事。あなた自身も、きっとどこかで同じような思いをしたことがあるのではないでしょうか。それを思い出しながら、使ってみてください。相手に嫌な思いをさせず、むしろ「また声をかけよう」と思ってもらえるはずです。

(構成/三宅智佳)

今井 登茂子 コミュニケーション教室「ともこ塾」主宰/元TBSアナウンサー

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いまい ともこ / Tomoko Imai

東京都生まれ。TBSテレビでアナウンサーとして音楽番組から報道、スポーツ番組と第一線で活躍。初代お天気お姉さんとして視聴率40%を記録。また、TBSラジオの看板番組『キユーピー・バックグラウンド・ミュージック』を27年間担当してきた功績などから、1988年には「ゴールデンマイク」賞を受賞。退社後、株式会社TJコミュニケーションズ「とも子塾」を設立、伊藤忠テクノソリューションズ、資生堂、東芝、丸井、ミキモト、モスフードサービス、ワコール、オール日本スーパーマーケット協会、全国地方銀行協会、など多数の大手企業、団体の人材育成に携わる。新聞・雑誌で連載を執筆するほか、著書多数。

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