移住人気先の静岡で活気が失われていく納得理由 移住者数は年々増加の快挙も解決しない課題

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縮小

若者の姿が減り続ける街はどこも活気が失われていく。静岡市も例外ではない。今年は「家康人気」に湧いているというが、政令市でありながら人口が70万人を切った静岡市(約68万人)の中心部では、大型店の閉店や撤退がニュースになっている。2月下旬には地元紙が「静岡東急スクエア 今夏撤退の可能性」と報じた。先んじて2021年には半世紀近く若者を集客してきた「静岡マルイ」が閉店している。

商店街も寂れる一方だ。葵区に位置する100年以上の歴史がある商店街は、50年前には120軒の商店が軒を連ねていた。映画館もあったというが、今ではわずか20店舗ほどに縮小してしまった。

進学先や就職先がないから若者が流出→若者向けのショップやレジャー施設が閉店→魅力減少で若者流出、という流れは地方でよく見られる負のループだが、静岡市もまた例外ではないようだ。

転出理由の上位は大学進学と就職

2019年に県が東京圏に在住する若者(18~39歳)などを対象に行った調査では、静岡県から転出した理由の上位は①大学進学58.1%、②就職34.2%、③結婚15.9%だった。

就職時に出身地に戻らなかった理由は①「やってみたい仕事や勤め先がなかった」41.6%、②「給与水準の高い仕事がなかった」27.2%、③「交通のアクセスが十分でなかった」(19.0%)の順。このほか「娯楽・レジャー施設に満足できなかった」(12.6%)という理由もあった。Uターン意向は「絶対戻りたい」「まあ戻りたい」が合わせて24.2%、「あまり戻りたくない」「絶対戻りたくない」が39.6%と、否定派が4割もいた。

実際、Uターン率は低迷している。しずおか産学就職連絡会のまとめによると、2022年春に県外の大学を卒業した学生で県内に就職した学生の割合は36%で2年ぶりに低下した。県内の高校を2018年に卒業して進学した1万7176人の進路を調査したもので、このうち約7割に当たる1万2100人余りが県外の大学に進学していた。

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