移住人気先の静岡で活気が失われていく納得理由 移住者数は年々増加の快挙も解決しない課題

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県は昨年5月、2021年度の移住者数が1868人で過去最高となったと発表した。移住者数の推移を見ると、2015年度にはわずか393人だったが、2017年度に1000人を突破し、コロナ前の2019年度は1283人、コロナ禍以降は2020年度1398人と増え続けてきた。2021年度の移住者(世帯主)の年代をみると20代から40代までの子育て世帯等が83.1%に達している。

この結果を受けて川勝平太知事は「2021年度の特徴として、東京圏へのアクセスの良い県東部地域が中心になって移住する方が増加した。やっぱりテレワークを活用するという方が多い」などと語り、これまでの県の移住促進の取り組み成果が移住希望地人気につながっているとの認識を示していた。

移住者が増加していることは歓迎すべきことだろう。しかし、それぐらいでは喜んでいられない。年間の移住者数をはるかに上回る人口流出が止まらないのである。

2022年は6038人の転出超過(日本人)。35市町村のうち転入超過はわずか6で、83%にあたる29市町は転出超過。静岡、浜松2つの政令市はともに2014年以降ずっと転出超過が続いている。

若者流出と少子化で人口は360万人割れ

深刻なのは若者の流出に歯止めがかからないことだ。2022年の年齢5歳階級別の日本人の転出超過状況は以下の通りだ。

0-4歳(66人)、5-9歳(125人)、10-14歳(146人)、15-19歳(2521人)、20-24歳(2807人)、25-29歳(1324人)、 30-34歳(234人)、35-39歳(40人)、0-39歳合計(7263人) 

子どもから20代、30代までの若い世代がことごとく転出超過となっている。子育て世代を中心に移住者が過去最高の1838人になったといっても、人口流出がその4倍近くもあるのだ。移住効果を完全に打ち消してしまっている。

さらに少子化進行で、出生数よりも死者数が上回る自然減が重なる。県の総人口は昨年2月1日時点で359万6643人と、1986年11月以来、35年3カ月ぶりに360万人を割り込んだ。1年後の今年2月はさらに減って357万1445人。右肩下がりが続いているのが現状だ。

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