「串カツ田中」新人告発騒動に見た3つの重要論点 マニュアルはちゃんと守られてこそ意味がある
関東圏を中心として展開する飲食チェーン「串カツ田中」を退職したという新入社員が、社内連絡チャットを利用し全社員に退職理由を発信したキャプチャー画像がTwitter上で拡散されて炎上した。
すでに多数報道されているので詳細は割愛するが、170万人超のフォロワーを持つ「滝沢ガレソ」のアカウントに投稿されたキャプチャー画像は、店舗での食材管理がマニュアル通り行われていないこと、パワハラ行為があったということを告発した。3月3日16時時点でリツイート2.2万、いいね9.1万、3000万回表示とケタ違いに拡散している。
キャプチャー画像にある「手洗いしようとするといやな顔をされた」「期限切れ食材を使用した」など、この新入社員が研修を受けた内容と、実際に配属された店舗で行われている運営が大きく異なっており、ショックを受けた、という内容が告発されていた。
今回の炎上から何が学べるのか。私自身の経験からテレビ番組のプロデューサーの重要な仕事の1つとして「コンプライアンス管理」を挙げたい。取材および放送のコンプライアンスをどうするべきか、さまざまな研修やマニュアルの策定を私自身も担ったことがある。
現場と乖離したマニュアルには意味がない
それを踏まえて私が感じたのは「現場と乖離したマニュアル」には意味がないこと。翻って、今回の「串カツ田中」の件では何らかの理由がありマニュアルが現場で機能していなかったのだ。「マニュアル」とは何かを考察することでこの炎上を報道することの奥にある意義を、きちんと表出させたい。
1 現場で守る意味がない理想論ばかりのマニュアルであるケース
これは現場を知らない管理者が、自らの「成果」のために作り上げたものの、現場を守る多くの人は受け入れずに「形骸化」してしまうことにある。現場の意識や工程を理解せずに行えば、現場の運行と乖離をしてしまい受け入れられなくなる。
理想だけが書かれているのであれば、企業統治や意思決定プロセスといった策定側の問題が大きいだろう。そしてこれが会社として高らかに掲げる「理想論」である場合、形骸化しているとなると企業ブランドを傷つける結果となり、企業価値を下げる可能性が大いにある。
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