遠藤:現場力というと日常の職場にばかり焦点を当てがちですが、運動会のような非日常で、チームとして取り組むことも、社員の元気を引き出すきっかけになるわけですね。
加藤:そうなのです。要するに、会社として現場に目が向いていなかったから、「運動会なんて無駄だ」と見なされてしまったのです。
遠藤:前回の対談での、「『工機・型部門』を別会社化しよう」という動きがあったのと同じですね。どの企業も、どうしても業績が落ちると、現場力にとって大切なものが「固定費」扱いされて、安易に切り離されてしまう傾向にあります。
加藤:しかし、運動会や企業スポーツの支援をやめると、すぐに数字には出ませんが、5年後、10年後の業績には必ずマイナスとして出てきます。
遠藤:逆に言えば、3000人が競う運動会が5年後、10年後の売り上げや利益を生み出すということですね。社内運動会も時代遅れみたいな見方をされて、かなり減りましたが、会社への帰属意識や一体感の醸成に重要なのですね。
「現場が主役になる日」という仕掛け
加藤:ウチの運動会では、役員が全員仮装して障害物競走をやるんですよ。事務局が、とんち坊主の一休さんや新選組、閻魔(えんま)大王などのコスチュームを着せるわけです。これは、役員が自分で好きな衣装を選べません(笑)。
遠藤:それは、運動会が「現場が主役になる日」だからですね。ちなみに、加藤社長は何をされるんですか。
加藤:私は走って転んでもいけないので、スターターでピストルを撃つ程度です。
遠藤:それも御社の大切なリスク管理のひとつですね(笑)。
加藤:そこまで、たいそうなものじゃありませんよ。当社は、実業団もソフトボール、陸上、バレー、バスケットボールのチームがありますが、試合があるときはバスツアーを企画して、みんなで極力、応援に出かけるようにしています。
遠藤:全社一丸になれる「社内運動会」や「実業団チーム」の価値が、現場力の向上という観点からも見直されるべきですね。それ以外でも、価値創造の主役としての「現場」を、より元気にする仕掛けについて、もっと考える余地がありそうですね。
(構成:荒川 龍、写真:今井康一)
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