化粧品開発会社3年目の山田咲良は、東京科学技術大学の班目教授と共同で開発された化粧品「ドクターズコスメ」のリニューアル担当に任命された。プロジェクトを進めるなか、ある日、先輩の三田村さんから「私が担当している販売予測に不安があるので、班目教授に相談したい」と声をかけられる。そしてふたりは、班目教授のいる大学を訪れた――。
収益予想はフィッシュボーンを活用
「お時間をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、私の販売シミュレーションに関するメタメタなデータについてご説明させていただきます」
そういって三田村さんは私をにらんだ。私は天井の蛍光灯を見た。
「まず図をご覧ください。これは、ビジネス・シミュレーションの分野でよく利用されるフィッシュボーン……魚の骨とも言われるもので、収益モデルの設計図を表しています。一般的に、このフィッシュボーンは細かく作りすぎないことがポイントで、主要なファクターのみで構成されています。そして黒塗りの部分がバリュードライバー……価値を生む原動力とでも訳しましょうか、我々企業が設定するパラメータです。このパラメータを変動させて、利益の予想を計算していくのです」
三田村さんは、図を見せながら説明を続けた。


















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