性ホルモンは、大きくわけると女性ホルモンと男性ホルモンがあります。それぞれに役割があり、人間の心身のさまざまな機能をつかさどっています。その量は、女性ホルモンに関しては、生涯でわずかティースプーン1杯ほど。その超々微量の性ホルモンの変化が、心身に大きく影響を及ぼし、一見するとホルモンと関係なさそうに見える多くの現象を起こしてくることがあるのです。
とくに今回注目したいのが、人間の元気の源といわれる「男性ホルモン(テストステロン)」です。これが男女の更年期以降の健康のカギを握ります。「テストステロンを制する者は健康長寿を制す」と言っても過言ではありません。健康長寿のために、ぜひみなさんに「テストステロン」を知っていただきたい。
まずは、テストステロンの重要性を理解していただきたいのです。それが、自分自身と家族やパートナー、さらに周りの人たちの健康寿命を叶える理解の第1歩になると思います。ご自身の後半の人生も軽やかに生きることにもつながります。
「テストステロンってなんだかよくわからない……」「体に悪そう……」と逃げ腰になる方もいらっしゃるかもしれません。ですが欧米では、もはやテストステロン補充は一般的になっていて、テストステロンの原料となるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン、副腎で作られるホルモンの源)もスーパーマーケットで買えるほどポピュラーなものなのです。
女性ホルモンはテストステロンが原料
女性にテストテロン? と不信感を持たれるかもしれません。ですが、女性ホルモンはテストステロンを原料に作られているのです!
閉経前の女性の血中テストステロンの約半分は、卵巣から、残り半分は副腎から分泌されます。テストステロンの原料は、コレステロールから作られたアンドロステンジオン(ホルモンの一種)やDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)です。これが代謝されてテストステロンになります。
さらに、このテストステロンが代謝されて女性ホルモンのエストラジオールが合成されます。ですから女性でも、血中のテストステロン濃度は、エストラジオール濃度よりずっと高いのです。つまり、男性も女性も、男性ホルモンと女性ホルモンを持っていて、男性は男性ホルモンをより多く持っており、女性は女性ホルモンをより多く持っているのです。
そして、加齢と共に、男女とも性ホルモンの分泌能力は低下していきますが、とくに女性の女性ホルモンは、45〜55歳の更年期に10分の1くらいに減少します。この急激な女性ホルモンのアップダウンを不規則に繰り返しながら低下していくことによる、自律神経失調症状や精神神経症状のことを更年期障害と呼ぶのです。
テストステロンに関しては、男女とも加齢によりゆっくり低下していきますが、その低下速度は個人差がとても大きいのです。そのうえ、もともと若いときにテストステロンが高かった人のほうが、低下による影響が強くなる傾向があります。
DHEA、テストステロン、エストロゲンといった性ホルモンが少なくなってきても、それなりに維持できれば、中高年以降になっても男女ともにお元気ですが、すべてが枯渇してくると、フレイルが進んでしまうことがわかってきました。
「医学生の教科書にも、女性にテストステロンがあると1行も書いていない」と、いつも熊ちゃん(テストステロン補充の第一人者で男性医学の父と称された故・熊本悦明さんのことを敬意を持ってこう呼ばせていただいています)先生はお怒りでしたが、女性にテストステロンがあるという事実は、なぜかほとんど知られていないのです。
若い女性にとってもテストテロンは元気の源。更年期前であってもテストステロンが相対的に高い女性は、元気がいい&性的意欲も高いです。
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