誤解多し「男性ホルモン」皆が知らない重要な働き 男も女も不可欠「死ぬまで元気」のカギを握る

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女性ホルモン・男性ホルモンの役割は次の通りです。

女性ホルモン=エストロゲン《内向き》
●育児や家事で家を支える内向きの生理
●オキトシン分泌亢進 (愛情・共感・親密感)
●グルーミング・スキンシップで分泌が促進されるホルモン
男性ホルモン=テストステロン《外向き》
●食糧を得るために狩りをし、外敵から家族を守る外向きの生理
●ドーパミン分泌亢進、バゾプレシン分泌亢進
●生活行動活性力を創り出すホルモン

ざっくり外向きと内向きととらえていただければOK!

子づくりをし、一人前に育てるために、それぞれの性ホルモンで役割を果たすことが必要でしたが、その役割を果たすと、性ホルモンが減少します。かつては、そこから先は短い余生しか残っていませんでしたが、今やその後に、「更年期」「熟年期」「高齢期」と30〜40年の人生を歩むようになりました。

人間以外の動物は、生殖を終えたら死を向かえます。「更年期」以降の人生は人間だけに与えられた時間。男女ともに性ホルモンが激減しても、人生100年時代を生きていかなければなりません。それは試練ともいえますが、健康を維持できれば、元気に楽しく過ごせる幸運な時間にすることができます。繰り返しますがそのカギとなるのが「テストステロン」です。

名前のせいで誤解を生んでいるのかもしれませんが、男性ホルモンは男性専用ではないし、女性ホルモンは女性専用でもありません。両方のホルモンが人間にはあり、その比率が男女の性差で異なり、さらに年を重ね変化する。一筋縄ではいかないのが大きな特徴です。

テストステロンで更年期をぶっ飛ばせ

性ホルモンの低下で50代以上になると男性は6人に1人、女性に関しては、軽症も含めればほぼ全員が、45〜55歳の更年期の間に、心と体のバランスが乱れ、そのことで生活の質が著しく低下すると「更年期障害」と呼ばれる状態におちいります。

『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

さらに60歳以降の老年期の問題としては、平均寿命は延びましたが、健康寿命との差はまだ約12年あり、この差はなかなか埋まらないまま。この差を縮めるには、欠乏したテストステロンをいかに維持していくかが、これからの新しい健康医学の課題になります。これは前述したように熊ちゃん先生から私が引き継いだことです。

何も手を打たなければ、晩年の約12年間は、生きているのが辛い試練のような時間になってしまうおそれがあるのです。

もしもあなたにお孫さんができたとして、そこからその子が中学生になるまでの間、不健康で寝たきりで過ごすと想像すると長すぎませんか? できれば一緒に遊んだり歩いたり、時には走ったりしたいと思いませんか?

元気ホルモン「テストステロン」をチャージすれば、「死ぬまで元気で生きる」という夢に近づくことができます。

関口 由紀 医師・『女性医療クリニック・LUNAグループ』理事長

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せきぐち ゆき / Yuki Sekiguchi

医学博士、経営学修士(MBA)、日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医、日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医。メディア出演多数。『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)、『女性のからだの不調の治し方』(徳間書店)、『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす腟ケアの手引』(径書房)など著書多数。

女性医療クリニックLUNA

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