BTS、シティポップ、藤井風が世界で売れる共通点 内向き日本と大違い?世界でウケた意外な理由

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韓国人歌手の立ち位置が、「日本語で歌うアジア人」の枠から変わり始めたのは、90年代に入ったころだと思います。日本では、1988年に開催されたソウルオリンピックをきっかけに、韓国に対する理解を深めようという機運が高まり、その後、韓国が本格的に民主化していったことで、韓国の音楽シーンもまた大きく変わりました。

そんな新たな時代の象徴といえたのが、1992年にデビューした「ソテジワアイドゥル」という男性3人組グループです。それまでにはなかったメッセージ性のある歌詞や、ヒップホップをベースとした楽曲で一世を風靡。韓国で“アイドル”という概念がまだ確立されていなかったころに、若者のポップアイコンとして絶大な支持を得て、当時「文化大統領」といわれたほどの影響力を持っていました。

そこから韓国の音楽シーンの裾野がどんどん広がり、日本のアジア音楽マニアの間で話題になるように。電気グルーヴがイ・パクサ(李博士)というポンチャック(韓国伝統のダンス系歌謡曲でK-POPの元祖ともいわれている)の歌手とコラボするなど、局地的なムーブメントも起こりました。

90年代後半から2000年代の初頭になると、SMエンタテインメント(韓国の大手音楽事務所)が、日本進出に乗り出します。当初は苦戦していましたが、2002年にソロ歌手のBoAが、4枚目のシングル「LISTEN TO MY HEART」で大ブレイクすると一気に流れが変わります。

その後は、2005年に東方神起、2010年には少女時代、そしてKARA(カラ)などSM以外の事務所のグループも続々と日本デビューし、K-POP旋風が巻き起こったことを記憶されている方も多いでしょう。

「日本ファースト」から「欧米ファースト」へのシフト(撮影:尾形文繁)

BTSの成功で韓国が欧米シフトに

日本はアメリカに次いで世界第2位の音楽市場です。それに日韓は文化的にも近いことから、K-POPアイドルの海外進出先として、これまで日本が第一に選ばれてきたのは必然かと思います。それが今では欧米シフトに変わり、日本は世界の市場の一国にすぎなくなりました。とはいえ、海外での売り上げの8割から5割程度に縮小と、それでも日本が約半分のシェアを占めてはいますが……。

こうした欧米シフトのきっかけは、BTSの世界的ブレイクが大きいと思います。

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