日本のPOS端末には大事なものが欠けている

Visaセキュリティ責任者がリスクを警鐘

――クレジットカード決済に伴う不正行為の現状は。

不正検知システムの導入やカードへのICチップ搭載(IC化)などのセキュリティ対策により、不正行為の頻度は2013年までの10年間で低下している。具体的には6.3ベーシスポイント(0.063%)から5.6ベーシスポイント(0.056%)に下がってきている。アジア太平洋地域ではこの10年間で不正行為の頻度は半減した。全世界レベルで見た場合、ICチップ搭載カードの普及により、不正行為の中心は(磁気データの盗み出しから)eコマース(電子商取引)へと移ってきている。

マヘッシュ・アディチャ(Mahesh Aditya)●JPモルガン・チェースで住宅金融と消費者金融業務の最高リスク管理責任者として5年間勤めた後、2014年7月Visaに入社。インド・バンガロール大学でエンジニアリングの学士取得後、デリー大学で経営学のMBAを取得(撮影:今井康一)

――世界最大の市場である米国の動向はいかがでしょうか。

米国でも不正行為の頻度は最近になって急速に下がってきている。というのは、ICチップ搭載のクレジットカードの発行が急増しているからだ。昨14年12月には4800万枚のICチップ搭載のクレジットカードおよびデビットカードが発行されている。これは同年9月と比較して67%増だ。

私どももかかわって業界横断的に設立されたペイメント・セキュリティ・タスクフォースの予測によれば、15年12月時点では米国内で約5億7500万枚のクレジットカードおよびデビットカードがICチップ搭載になるとされている。つまり、わずか1年でICチップ搭載のカードの発行枚数は10倍以上になる。

これはカード総発行枚数の約50%、うちクレジットカードでは70%、デビットカードでもIC化率は41%に達すると予想されている。ICチップ搭載カード対応のPOS端末も47%に増加すると見られている。具体的な予測値はないものの、17~18年頃には、カードおよび加盟店両方で100%のICチップ対応が実現すると思っている。

大量の情報漏えいで、不正利用防止急ぐ米国

――米国では14年10月にオバマ大統領がカードセキュリティに関する大統領令に署名し、政府としてICチップ対応のカード決済普及に本腰を入れることを表明しました。背景には、大手百貨店やスーパーマーケットのPOS端末から大量のカード情報が漏えいするという事態がありました。米国では、情報漏えいにより実際に偽造カードが作られたり、カード情報が不正利用されたケースはどの程度あるのでしょうか。

昨年8月の事例では、数百万人分の顧客情報が企業から漏えいした。ただ、当方がすぐに察知して、カード発行会社や加盟店に通知した。そして捜査官から漏えいしたクレジットカード番号のリストの提供を受けたうえで、それらのカードは使えないようにした。そうした迅速な対応の結果、不正行為に至ったのは盗まれたカード番号のうちの2%に満たない比率にとどまった。

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