正念場のヤフーが打つベンチャー投資の勝算 成長の「踊り場」を脱せられるか

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メンバーを紹介するサイトはユーモアが満載。鎌倉武士の衣装を身につけているという(同社ホームページより)

YJキャピタルが設立されたのは、ヤフー本体とのシナジーの有無にとらわれず、柔軟に投資を行う目的があった。10億円でスタートし、その後30億円まで増額した1号ファンドは19社に出資し、4社(フリークアウト、レアジョブ、みんなのウェディング、Aiming)が新規株式公開(IPO)を果たした。

では、今後は、「純投資」と「本体へのシナジー」のどちらを重視するのか。その点に関しては2号ファンドでもシナジーにこだわらず、純投資を優先させる方針だという。ただ、「(投資先との関係が)ゆるい経済圏になっていて、資本関係があるほうがいろいろな話ができる。そういう意味でのR&D(研究開発)の外出しという意味もある」と、ヤフー本体に新たな成長エンジンを取り込む可能性についても含みを持たせる。

ソフトバンク孫社長とも情報交換

平山氏はソフトバンク社長兼ヤフー会長の孫正義氏とも情報交換を行うグループの重要人物。ヤフーの企業戦略本部長として、「ある程度以上のM&Aの案件は、全て孫(正義)会長の目を通るので、しばしば案件の説明に行く」関係だ。

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「投資先の企業が大きくなって提携や買収を行うこともあり得るが、それがなくても時価総額のところで返ってくれば良い。ソフトバンクが良い例で、(中国 EC最大手の)アリババ・グループ・ホールディングに投資して大当たりしたことが、評価として返ってきている」(平山氏)。

ソフトバンクは2000年に 20億円を投資したアリババが2014年9月に上場し、一時10兆円の含み益が発生した。「短期間ではなく、長い目で見たときに、良いと思える企業に投資する」という投資戦略は大きな実を結ぶのか。平山氏をはじめとする、YJキャピタルのメンバーの目利きが、踊り場を迎えているヤフーの成長を再加速させるかどうかのカギを握っている。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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