近く承認へ、「やせ薬」セマグルチド乱用への不安 「15%体重が落ちる」とされる薬の大問題

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ウゴービは糖尿病の治療薬として使われているセマグルチド(オゼンピック)と同じ成分(写真:編集部)
“やせ薬が近く健康保険の対象になる”と、にわかに話題になっている。
2023年1月27日、厚生労働省の専門部会はGLP‐1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)を、肥満症の治療薬として承認することを了承した。
1年前の6月にはFDA(アメリカ食品医薬品局)でも認められたばかり。いったいどんな薬なのか、どれほどの減量効果が期待できるのか。昨今のダイエット薬の問題点とともに明らかにしていく。

「GLP-1受容体作動薬を使ったダイエットに関して、セマグルチドは非常に有効な薬だと思います」

こう話すのは、四谷メディカルキューブ(東京都千代田区)減量・糖尿病外科センター長の笠間和典医師だ。同院ではこれまで高度肥満(BMIが35以上)の人を対象に、2000例以上の腹腔鏡下減量・代謝改善手術を実施してきた。

「スリーブ状胃切除(胃の一部を切除して細長くし、食事摂取量を制限する肥満手術の一種。日本ではもっとも多く行われている)だと、当院では体重の30%くらいの体重減少効果があります。手術に匹敵するほどの効果はありませんが、セマグルチドはだいたい15%くらいの体重減少があるとされています」

適応は治療が必要な肥満(肥満症)の人

今回、承認される見通しのセマグルチド(ウゴービ)は、糖尿病の治療薬として使われている薬(オゼンピック)と同じ成分で、容量が2倍まで増やせる。セマグルチドには飲み薬もあるが、承認されるのは皮下注射薬で、週に1回投与するタイプだ。

治療の対象となるのは、肥満症のなかでも、高血圧や脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかがあって、かつ食事療法や運動療法を行っても十分な減量効果がみられない人。「BMIが27以上で、2つ以上の肥満に関連する健康障害がある」か、「BMIが35以上」の人に限定される、とする。

ちょっとややこしいのだが、「肥満」と「肥満症」とは違う。

次ページ日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」によると
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