「東京で売れたい」"沖縄お笑い芸人"の大逆転人生 「O-1グランプリ」チャンピオン、首里のすけ物語

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2020年10月、30歳の首里のすけは、当時の真栄平房修代表(現会長)に突然呼ばれ「この会社の代表をやってみないか」と打診された。

「それまで30名いる芸人たちをまとめるリーダーをやっていて、会社に対しての要望を、当時の代表で現会長に遠慮なく言っていたんです。そしたら、おまえがやってみないか的な感じになって……」

バイトリーダーとは似て非なる芸人リーダー首里のすけは、生まれ持った正義感と責任感で空回りしながらも、代表にガンガン意見を述べていた。

それが功を奏したというか、突然の代表就任の話。降って湧いた辞令によって、驚きよりも芸人魂に火がついた。31歳で万年後輩気質のイジられキャラの自分が会社代表になったと言えば、まず誰もがドッキリだと思い、笑いが起きるはずだ。

「ありえない人事」に一度は断りを入れたが…

「今でいうと、ザ・マミィの酒井さんが人力舎の社長になるような……、とにかく周りからすれば衝撃だったと思います」

それほどありえない人事だが、首里のすけは『芸人にとっておいしい話だ』と考えた。この青天の霹靂は、むしろ仕事のオファーが増えると即時に思ったほどだ。

「でも、冷静に考えてみると、自分が売れることだけを考えているのは経営者の思考ではない。それと、自分が売れるために経営者になるのであれば独立すればいいと思ったんです。なぜ他の芸人のことまで考えて経営者にならなくてはいけないのか

自分たちでやりたくない営業や宣伝をお願いするために事務所に所属し芸に集中してきたのに、『なぜ経営者になって他の芸人のためにまで頑張らなくてはいけないのか』という矛盾が生じてきた。

人生は、常に「選択と集中」の繰り返しだ。1週間考えた後に、首里のすけは断りを入れた。

断りの理由を聞くやいなや、真栄平代表から「『まず自分たちが売れたい』という思いはそれでいい。次に、独立したい話だけど、本当に独立したいなら、一度ここで経営者になってから、独立したほうがいいんじゃないのか」と言われ、首里のすけは「なるほどなぁ〜」とすぐに納得。簡単に懐柔された。

変わり身の早さに定評がある首里のすけは、晴れてオリジンコーポレーション代表に2021年1月付で就任する。

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