もう1つ、「謝ったら死ぬ病気」から解放されるために重要なのは、「偉そうなのは時代遅れ」という感覚を知ることである。
威厳を示すと同時に、親しみやすさを感じさせたいならば、自分自身が序列や地位にこだわりすぎて、無益な緊張を生んでいるのではないかと思いを馳せるとよい。
リーダーこそユーモア発揮すべき
ツイッター社のCEOであったディック・コストロは、ある朝、新入社員からじろじろと見られ、「あれってCEOだぜ!」とヒソヒソ話をされた際、笑ってこう言ったという。
「そうだよ! こんにちは! 僕はホログラムじゃないんだから、ちゃんと聞こえてるよ! 僕の名はディック。はじめまして」
このユーモアあふれる挨拶に、みんなが一緒に笑った。「あの人が、世界的企業のCEOか」と認識するだけで、おのずと萎縮してしまう人は少なくない。
だが、こうして「CEO」「新入社員」という序列や地位の壁を吹き飛ばし、意外な親しみを感じさせることができるのだ。
コストロは、この一件以来、毎日エレベーター内で「僕はセレブだから」などジョークを言って、従業員たちを笑わせていたという。それがリーダーとして成功するために、きわめて重要なことだと考えているからだ。
リーダーの仕事は、ミスが起こるのを防ぐことではなく、ミスが起こったときに迅速に処理することである。コストロは、この点に自身のユーモアを接合させ、「みんなが安心して私に悪いニュースを報告できなかったら──ミスを処理するまでに、うんと時間がかかってしまいます」と語っている。
単に「好感度をアップさせるため」という目的だけではなく、リーダー論、組織論のうえでも、理にかなった行動なのだ。
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