「ひきこもり51歳男性」業者の強引な連れ出し被害 寮費10万引かれ、手取りがマイナスになる月も

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親と同居していたヒロユキさんの自室に引き出し業者がやってきたのは4年前。突然、見知らぬ男2人から「これから施設に行くので10分で支度するように」と告げられた。呆然とするヒロユキさんに対し、男たちが「財布、出してください。親御さんの許可は取ってます」と追い打ちをかける。結局、キャッシュカードから保険証、運転免許証、通帳まで取り上げられ、車に乗せられた。高圧的な物言いは「暴力団のようでした」。押し問答が続く中、おびえた飼い猫が異様な鳴き声を上げていたことを覚えている。

「引き出し業者」とは?

引き出し業者とは、ひきこもり状態にある人などの自立支援をうたい、強制的に施設入所させる民間事業者のこと。中には部屋の扉をこじ開けて侵入し、当事者を暴力的に引きずり出すケースもある。こうした業者は精神的、経済的に追い詰められた当事者の親と契約することが多い。高額な料金を請求しながら、施設に監禁したり、精神科病院に入院させたり、最低賃金以下で働かせたりする悪質業者もいる。

ヒロユキさんが入所した施設でも、不適切な行為は数多くあった。

まず大手製造メーカーの系列工場で派遣労働者として働かされていたのに、一度も有給休暇を取ることができなかったという。さらに工場勤務以外に業者が所有する車の洗車や施設敷地内の草むしり、幹部スタッフの所用の手伝いなどを強いられたり、定期的に朝食の準備や皿洗い、掃除をさせられたりしたが、それらはいずれも無給だった。

また、居室からベランダに出るとブザー音が鳴ったほか、一部の部屋は扉から出入りするたびに電子音が鳴る仕組みになっていた。「侵入者対策と説明されましたが、いったいだれが侵入してくるというんですか」。事実上の軟禁だと、ヒロユキさんは感じたという。

プライバシーも守られなかった。郵便物はスタッフが開封して“検閲”。マイナンバーカードの作成やコロナワクチンの接種も「当然のように強制された」。マイナンバーカードと接種証明書はほとんどの入所者が没収されていたという。

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