昨年7月。KDDIによる大規模な通信障害が発生した最中の出来事だ。auユーザーのタケアキさん(仮名、46歳)は携帯の着信履歴に気がつくとすぐに折り返した。相手は当時利用していた生活保護の担当ケースワーカー(CW)。電話がつながると、強い口調でこう言われた。
「何度も電話してるのになんで出ないんですか。(タケアキさんが)保護費だけもらって逃げたと市役所で噂になってますよ。それって泥棒ですよね!」
泥棒呼ばわりにムッとした。自ら折り返しの電話をしていることや、通信障害の影響の可能性もあることを訴えた。しかし、CWは「うそつかないでください。逆切れしないでください」と譲らなかったという。
「失礼だと思っても強くは言い返せない」
「『税金で飯を食ってるくせに』と言わんばかりの口ぶりでした。こっちはこっちで『生活保護は恥ずかしい』という負い目があります。失礼だと思っても強くは言い返せない」
行政との出合いは最初から不穏だった。
千葉県内の小さな自治体。生活保護を申請するために訪れた市役所の窓口で、相談員と思われる年配の女性に声をかけると「何? 生活保護を受けたいの?」と返された。続いて所持金を尋ねられたので300円くらいだと答えると「そんなになるまで何やってたの?」とまたしてもタメ口。この日は事前に相談していたNPO法人のスタッフに同行してもらっていた。相談員はタケアキさんとスタッフに向かってこう続けた。
「なんで民間に頼る前にうちに相談に来なかったの? お宅らはどういう関係? もしかしてこの子を(市役所に)紹介すると、国からお金をもらえるとか、そんな感じ?」
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