中学受験どこまで課金?「塾のコスパ」を考える 課金に見合った成果を上げるチェックポイント

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親が焦燥にかられて課金しても成果は見込みづらい(写真:kazpon)
競争が激化する中学受験に挑むためには、どのような準備が必要なのだろうか。『令和の中学受験2 志望校選びの参考書』の著者であり、都内で中学受験塾「スタジオキャンパス」を経営する矢野耕平さんは「合否の半分は親の知識と準備で決まる」という。入塾前に身につけておくべき学習習慣や、塾選びのポイント、受験にどこまで課金すればいいのかなど、注意点を聞いた。

語彙力に差がつく家庭の習慣

中学受験生の大半が、小学3〜4年生で進学塾に通い始める。しかし、「入塾の段階で、子どもたちの間ですでに大きな学力差が生じている」と矢野さんは言う。

学力差の要因は、環境によるところが大きいと思います。特に語彙力の差を痛切に感じます。幼い頃からどれだけ大人とたくさん会話をしているか、絵本を読み聞かせしてもらっているかが影響していると思います。誰しも、辞書で引いた言葉を覚えようとしてもなかなか身につきません。それより日常的に飛び交う言葉の中から、『これはこういう意味の言葉なんだな』と理解して獲得していくものです。周りの大人から子ども扱いされず、いろいろな言葉を投げかけられてきたほうが語彙が豊富だと思います」

また語彙力を育むためには読書が大切だが、親がスマホやゲームばかりしていては子どもが読書に興味を持つことは難しい。

「本好きの子の親はやはり読書をしています。本棚に書籍がいっぱい並んでいるだけでも、『お父さんやお母さんが読んでいる本は難しいけど、何が書いてあるのかな?』と興味を示すかもしれません。また新聞を購読して、それが子どもの目に触れることで自然に難しい漢字や表現に慣れ親しむことができます」

算数、理科、社会に関しても日常的に興味を持たせる環境や習慣が大切だという。

「算数に関しては学習指導要領内の計算技術を身につけ、九九をちゃんと暗記してほしいです。それ以外にも、日常の中で数に関心を持たせることが大切です。図形やパズルで遊んで好きになっておいたり、理科なら外出した時に身の回りの動植物にどれだけ興味を示せるか。

社会では、美術館や博物館、歴史資料館などにどれだけ足を運び、お子さんが興味、関心を抱くことができるかでずいぶん変わってきます。入塾前に付け焼き刃的にドリルをやらせるより、いろいろな経験をしている子ほど知識量が多いと思います」

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