ただし、1月31日に公表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通し では、その中国経済への見通しが上方修正されている。昨年10月の見通しでは、2023年の成長率を+4.4%と見込んでいたが、それを+5.2%とかさ上げしている。以下、予想の主要部分を抜き書きしておこう。
全世界 6.2% 3.4% 2.9%(+0.2) 3.1%(-0.1)
アメリカ 5.4% 2.7% 1.2%(+0.1) 1.4%(-0.2)
ユーロ圏 5.3% 3.5% 0.7%(+0.2) 1.6%(-0.2)
日本 2.1% 1.4% 1.8%(+0.2) 0.9%(-0.4)
中国 8.4% 3.0% 5.2%(+0.8) 4.5%(0.0)
インド 8.7% 6.8% 6.1%(0.0) 6.8%(0.0)
*()内は、前回10月分からの変化
「フルコロナ政策」に転換した中国の実態は?
全世界にネット配信されたIMFの公式発表会においても、中国経済については多くの質問が寄せられた。もちろん本当のところは、IMFのエコノミストたちもよくわかっていないはず。なにしろ「すでに9億人が感染済み」「死者が急増して火葬場が混雑している」などという恐ろしい話が飛び交っているくらいである。
確実なのは、中国政府が昨年12月初旬に3年続いた「ゼロコロナ政策」を急転換したことだ。そして1月22日の春節前後には、ほぼ3年ぶりで帰省や観光などの「民族大移動」が行われている。「中国はわずか1カ月で集団免疫を獲得した」と評価する声がある一方で、どれくらいの被害が出ているのかはよくわからない。「ゼロコロナ」から一気に「フルコロナ」に振れたことで、今後の中国社会がどう変わるのか、ひいては習近平体制にどんな影響が及ぶのかなどは、まったくの未知数と言わざるをえない。
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