あっという間に2月に入ったが、今年はとにかく年初からいろんな場所を訪れている。岡山県倉敷市、東京都府中市、岐阜県下呂市、富山県高岡市。いずれも地元の団体主催の新春経済講演会で、エコノミストとしては商売繁盛でまことにありがたい。特に下呂温泉は良かったですぞ。講師の仕事を終えた後に、懇親会と温泉までついていた。ああ、この仕事をやっててよかった。
「コロナ足掛け4年目」でようやく「当たり前の生活」へ
思えば去年と一昨年は、どこも「リアル会合」に二の足を踏んだり、直前になって「ドタキャン」になったりと、コロナ禍で受難の日々が続いたものだ。
ただし足掛け4年目ともなると、ウイルス自体も弱毒化してきたようだし、何より生活するうえで「ウィズコロナ」の対応策が定着してきた。人々はようやく、パンデミック以前の「当たり前の生活」を取り戻しつつある。
最近よく見かけるJR東日本のポスターには、「冬を取り戻すんだ。」 とある。なるほどスキー場なども、過去2年間はサッパリであったことだろう。先日も北陸新幹線の車内で巨大なスノーボードを抱えた若者を見かけたが、きっと長らく眠っていた道具一式を取り出して、「リベンジ消費」に向かう途中であったに違いない。
政府の対策本部も、新型コロナウイルス感染症の法律上の扱いを、5月8日から今の「2類相当」から、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行する方針を決めた。今後、医療供給体制や公費負担、ワクチン接種などの具体策を詰めなければならないが、どうやら足掛け4年目にしてパンデミック(大流行)に「出口」が見えてきた。もちろん今の「第8波」が収束した後に、さらに「第9波」が到来する可能性だってゼロではないのだが、その場合も「5月8日」の予定は変わらないのではないかと思う。
「平常への回帰」が進むことは、今年の景気に明るい見通しを与えてくれる。筆者が注目しているのは貯蓄率の推移である。日本経済の貯蓄率は、1990年代には10%前後と高かったが、その後は高齢化の進展に伴って普通の先進国並みに低下してきた。2000年代には平均3.6%、2010年代には同1.4%となった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら