また、『高血圧治療ガイドライン2019』によると、日本では高血圧が原因による脳心血管病(脳卒中や心筋梗塞など)の死亡者数は年間約10万人と推定されているが、このうちの約半分が120/80mmHgを超えている血圧高値の人と推測されている。
「大事なのは、普段から高血圧になりやすいリスクを減らしておくこと。『ちょっと血圧が高かったんだけれど……』という人が心筋梗塞などを患い、病院に搬送されてきます。治療が必要なほどではないけれど、健康診断などでは指摘されている、“ちょっと高い”を何とかしておくことが、将来の循環器疾患予防につながります」(苅尾医師)
では、具体的にどんなことに気を付ければいいのか。まずは食事から見ていきたい。
① 食事「減塩」
やはり血圧を下げるには、塩分を減らすことがいちばんの近道といえる。
塩分を摂るとなぜ血圧が上がるのか。その仕組みはシンプルだ。塩分を摂ると血液中のナトリウム濃度が上がり、それを薄めるために血管外にある水分が血管内に流入してくる。その結果、血液量が増え、血圧が上がるのだ。
ナトリウムはまた自律神経の1つである交感神経を刺激する。交感神経は血圧を上げる働きのあるナトリウムの排出を抑制しようとする働きがあるといわれている。このナトリウムと交感神経のスパイラルを絶つためにも、減塩が必要だ。
1日6g未満が適正な塩分量
「適正な塩分量は1日6g未満です。日本人の摂取量は10gといわれていますが、濃い味が好き、何にでもしょうゆや塩をかける人は、それ以上に摂っている可能性が高いです。1日5g減らすだけで血圧は5mmHgほど減ります。まずは6gを目指さなくても、今摂っているよりも減らすというところから始めてみましょう」(苅尾医師)
とはいえ、自分で塩分量を測りながら調理するのは面倒で、それを毎日できる人はそういないだろう。そんな人は、「食事は白米を中心にする」「加工品は減らす」「タレやソースは掛けるのではなく、付ける」「汁は残す」「食べすぎない」という5つを守りたい。
加工食品やインスタント食品、ファストフードや居酒屋のメニューには食品成分表が載っているものも多い。こうしたものを見て選ぶのも1つの手だ。
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