1980~90年代、統一教会がメディア相手に訴訟を乱発した形跡はない。しかし批判的な報道後にメディアに無言電話などの嫌がらせがあったという話は伝え聞く。今となっては、それが統一教会によるものと断定はできないが、仮にそうだとしても、オウムや幸福の科学に比べればまだマイルドだった。
近年、私自身がメディア関係者の口から「幸福の科学を批判するとFAX攻撃をされるのではないか」という具体的な危惧を聞かされることが何度かあった。メディア側の「宗教を敵に回すと面倒くさいことになる」という意識は、複数の宗教団体による激しい反論や行動によって植え付けられたものだろう。
空白の30年が生じた大きな理由は、この辺りにある。メディアの側に、面倒なこと、トラブルを避ける雰囲気が醸成されていった。
事件、芸能、スキャンダルは報じる
その一方で、宗教やカルトの問題についての報道がいっさいなくなったわけではない。刑事事件になったものや奇異な騒動、政治家や芸能人のスキャンダルは、時事的な出来事として、それなりに報道されてきた。
例えば、1995年以降では、以下のようなものがある。
1990年代後半から2000年代は、ほぼ毎年のように何かしらの事件が起こったり問題が発覚したりして、その都度、報道がされてきた。しかし被害救済・防止のための機運につながる問題提起というよりは、瞬発的な時事報道だった。
そしてそれさえも「空白の30年」の後半、すなわち2010年代に入ると、さらに弱体化していったのだ。
(後編「宗教『勧誘注意』の報道で団体名を伏せる謎」は2月4日配信)
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