統一教会以外の宗教団体名を伏せる大手メディア オウム事件以降続く「空白の30年」の罪深さ

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私自身の周辺で、メディアに対する2世たちの不満がかなりはっきりと目立つようになったのは、2022年10月27日に2世たちが厚生労働省で開いた記者会見の後からだ。会見では、統一教会2世とエホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会の信者)2世が出席し、岸田文雄首相や各政党、厚生労働省などに要望書を提出すると表明した。

統一教会とものみの塔による組織的な宗教虐待の実情を訴え、2世問題が統一教会に限った問題ではないことを説明した。

統一教会以外の団体名を伏せるメディア

とくにものみの塔はむちなどを使って子供をたたく行為や、輸血拒否、学校行事への参加や大学進学の禁止、交友関係の制限などを、組織的に行ってきた。新たな法律をつくるまでもなく、あからさまな虐待である。 

しかし一般メディアの多くはこの会見について、エホバの証人、ものみの塔という名称を報じず、会見で語られた、ものみの塔の信者2世(エホバ2世とも呼ばれる)のエピソードにも触れなかった。この点については、統一教会2世からも不満が聞かれる。

統一教会2世たちもまた、統一教会問題に限定しない問題意識を持っていた。厚労省での会見は、宗派、宗教団体を限定せず、広く2世問題を提起する趣旨だった。

例外はある。例えば、10月27日に東京新聞がウェブ配信した「『今国会で被害者救済の法整備を』旧統一教会など宗教2世たちが訴え 首相らに要望書を提出へ」のように、エホバの証人を明記した報道もある。

しかし会見後の3日間について、紙面で報じられた記事をニフティの「新聞・雑誌横断検索」で調べると、会見について報じた30件の記事のうち、「エホバ」の語が登場するのは1件、「ものみの塔」は0件だ(記事以下、検索期間の記載がないものは2022年12月19日分までの記事が対象)。

11月1日、「社会調査支援機構チキラボ」が、宗教2世の実態調査の結果を公表した。1131件の回答が寄せられたとした。内訳は、創価学会428、エホバの証人168、統一教会47、そのほか335。しかし上記と同じ要領で新聞・雑誌を検索したところ、39件の記事中「エホバ」は1件、「創価学会」も1件しか出てこなかった。

このように大手メディアは、統一教会以外の宗教団体について、極端に抑制的だ。

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