統一教会以外の宗教団体名を伏せる大手メディア オウム事件以降続く「空白の30年」の罪深さ

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1990年、オウム真理教が熊本県波野村(現・阿蘇市)に教団施設を建設するため土地を取得したが、地元住民の反対にあい、現地では混乱が起きた。熊本県警が国土利用計画法違反容疑で施設を強制捜査し、幹部らを逮捕した。

度重なる訴訟に大手メディアによる批判は散発的に

波野村をめぐってオウム側は、信者の転入届を受理しなかった村を提訴。森林法違反で教団に波野村での開発中止命令を出した当時の細川護熙県知事も提訴した。

教団関連の議会決議をした波野村の村議らや、それを報じた毎日新聞社を相手に、名誉毀損などを理由とした訴訟も起こした。「オウム真理教、波野村内の農地に違法にプレハブ建設の疑い」などと報じた西日本新聞社を相手取った訴訟も起こした。

結局、オウムでは、地下鉄サリン事件が起こるまで、大手メディアによるオウム批判や問題提起の報道は散発的なものにとどまった。当初から坂本堤弁護士とともにオウム問題に取り組んできた「オウム真理教被害者の会」(現・オウム真理教家族の会)の永岡弘行会長は、当時のメディアの反応の鈍さを悔しそうに振り返る。

「地下鉄サリン事件が起こった後、私はいろんな人に言ったんだ。『だからあれほど言ったじゃないか』と」(永岡氏)

地下鉄サリン事件の約4年前の1991年には、幸福の科学による「フライデー事件」が起こる。講談社が発行する写真週刊誌『フライデー』の記事に抗議して、幸福の科学が信者を動員して講談社への抗議デモや、抗議の電話やFAXによって業務をマヒさせるといった行動に出た。

さらに幸福の科学は、名誉毀損などを理由に講談社を提訴したほか、全国の地裁で信者個人を原告とした訴訟も乱発した。記事の内容について教団が原告となった訴訟では教団が勝訴したが、個々の信者名義で乱発された訴訟では大半が教団側の敗訴だった。

1990年代後半から2000年代にかけては、高額な布施を強いていたワールドメイトを批判的に報じたメディアやジャーナリストを、ワールドメイトが次々と提訴している。

次ページ批判的な報道後にメディアに無言電話などの嫌がらせが
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