「牛肉=若いほうがおいしい」という日本人の誤解 食肉の世界に広がる「ヴィンテージ」という発想

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ステーキ肉
「牛肉といえば若いほうがおいしい」と思っていませんか?(写真:shige hattori/PIXTA)

日本では牛肉というと、品種やブランドにもよりますが、肥育期間2〜3年で出荷されるものが主流ですが、最近、肉好き界隈では「ヴィンテージビーフ」という言葉が聞かれるようになりました。どうやら昨年10月、六本木にオープンした「SURF&TURF」というステーキハウスがその火付け役となっているようです。

同店では、6カ月ほど良質な牧草で肥育をしたニュージーランド産ブラックアンガス牛の5歳以上の経産牛の肉を輸入し、さらに店舗で熟成した肉をヴィンテージビーフとして提供しています。

世界では長期飼育はめずらしくない

現時点では、「ヴィンテージビーフ」の明確な定義はありませんが、世界を見渡してみても、肥育期間の長い牛が食用として使われるのはめずらしいことではありません。

例えば、「フランスの神戸牛」とも言われる「バザス牛」や、スペインの「ルビアガレガ牛」などは、5年以上肥育が当たり前で、お肉の味の濃さと独特のうま味は、肉好きにはたまらない美味しさ。ヨーロッパの牛は、乳用・肉用の兼用種なので、経産牛だけでなく、オス牛の去勢牛もたくさんいます。これらもヴィンテージビーフと呼ばれたりします。

最近では、オーストラリアやニュージーランドでも、ヨーロッパの牛に敬意を込めて、長期飼育となる経産牛を一定期間再肥育した肉牛を、ヴィンテージビーフと言って出荷しているようです。

ここで少し、牛の種類について説明をしておきましょう。「経産牛」とは、文字が示すように、お産を経験した牛のこと、つまり母牛です。母牛は、若くて5年、10年前後繁殖牛として飼育され、子牛を年に1頭出産して役目を終えます。

「去勢牛」とは、オス牛のことで、黒毛和牛もホルスタインも、肉牛のオス牛は生まれて間もなく去勢されます。なぜ去勢するか? というと、人間もそうですが、オスの方が筋肉質で肉が硬くなりやすいから。また気性も荒いことも多いので、去勢をして脂肪をつきやすくし、肥育しやすくするために去勢します。これは日本だけでなく、世界中で行われていることです。

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