沖縄「やんばるの芸術祭」に見る伝統工芸の課題 今年で開催6回目、どう課題を解決していくか

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また村民が日常生活を営むうえでも、いい刺激になっているようだ。「われわれにとって自然はあたりまえのように身の回りにあるもの。それがアーティストの方々には宝物であり、資源になって作品になっていく。われわれとしても自然を見直す機会になったり、人と自然の共存を改めて考えさせられたりしています」(知花村長)

「アートは心豊かな生活に必要。多角的なものの見方、考え方ができるようになる。こういう田舎に大きな刺激を与えてくれて大変いいこと。また、もの作りの里でもある村の工芸家の発表の場としても意味があります」(友寄村長)

こうした声の一方で、本フェスには課題もある。イベント運営にはそれなりのコストがかかるが、主催者側はそれに見合うリターンを得られているかどうか、という点だ。

観光誘致の課題もある

自治体にとっての最大の目的は観光客誘致による経済振興だ。本フェスの現状を見ると、アートファンを除き、一般観光客にまではなかなか訴求していないことがうかがえる。

要因の1つは地理的問題だろう。やんばる地域までは那覇から車で2時間弱。観光のついでに足を延ばすには遠い。気軽に寄ってみようとならないところが難しいところだ。こうした問題を解決すべく、2021年7月には国道58号名護東道路の世冨慶インターチェンジ(IC)―数久田ICの区間が開通。北部地域へのアクセスが向上している。

知花村長は「遠いからこそ日帰りではなく滞在してほしい。そのためにはいろいろ楽しんでいただけるプログラムを準備しないといけない」と語る。友寄村長も、日帰りから滞在型へと転換するための大型宿泊施設の開発を課題として掲げる。

また滞在以外で観光客をさらにどう誘致していくか、という点に関しては「空き施設や店舗を活用するなど自然との共生を意識しながら会場を拡大し、期間も長くしてイベントももっと打っていきたい。ネームバリューを上げれば、より人が集まるはず」と知花村長は話した。

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