沖縄「やんばるの芸術祭」に見る伝統工芸の課題 今年で開催6回目、どう課題を解決していくか
目玉の展示となる同小学校体育館のステージには、沖縄県出身で西表島在住の85歳の染織家・石垣昭子さんによる芭蕉布のタペストリーや交布のスディナなどが出品されているほか、西表島・祖納公民館に保管されていた城間紅型の緞帳幕が、本フェスのために初めて島外に持ち出され、展示されている。
そんな伝統工芸を紹介するステージの向かい側には、現代社会に切り込むクリティカルな作風で知られるChim↑Pom from Smappa!Groupによる巨大なバルーンのゴミ袋が展示されている。設置場所をゴミ捨て場へと変容させる本作からは、環境問題など、やんばる地域の大自然と人との関わり方を考えさせられる。
そのほか、会場の1つにもなっている六田原(むたばる)展望台には、音楽ユニット・水曜日のカンパネラの初代ボーカルを務め、芸術家としても活動するKOM-I(コムアイ)さんによる、芭蕉布の制作工程から着想を得たという音楽と映像のインスタレーション作品が展示されているほか、オクマ プライベートビーチ&リゾートには、芸人であり画家としても活動するジミー大西さんによる、沖縄の風景に溶け込むような鮮やかな色彩で描かれたアートラッピングカーが展示されている。
地方自治体はどう受け止めているのか
やんばる地域の生活環境や社会性、大自然などから着想を得た作品の数々からは、地元の沖縄県民のみならず、県外からのアートファンや観光客にとっても同地の新たな一面を感じたり、思いもよらなかった視点からの学びを得たりすることができる。
本フェスでの取り組みを、地方自治体側や村民たちはどう受け止めているのか。国頭村の知花靖村長は「村民はアートに触れる機会がなかなかない。芸術祭で毎年アーティストの方々が村に来てくれることを喜んでいます」と話し、大宜味村の友寄景善村長は「村民とアーティストや観光客が直接触れ合う機会があり、いろいろな話をするなかで大宜味村を知ってもらえる。非常にPR効果が高いと感じています」と語る。
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