「正月太りが解消しない人」が陥る食と運動の盲点 体脂肪だけが増える食生活の落とし穴があった

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食事回数が少ないことで起こる問題は、空腹時間が長くなることです。空腹時間が長くなると血糖値が下がっていくので、体に貯蔵された栄養を分解するためにグルカゴンやコルチゾールなど、血糖値を上昇させるホルモンが分泌されます。このときに体脂肪だけが分解されれば問題はないのですが、 残念ながら体に必要な筋肉まで分解されてしまうのです。筋肉が減ってもいい、という人もいますが、筋肉は熱産生のためにたくさんのエネルギーを消費するので、筋肉が減れば代謝が下がって太りやすい体質になっていきます。

もう1つの問題は、空腹時間が長くなるほど食欲が増進することです。忙しさで食事を抜いたときに、食べることばかり頭に浮かんでくるのは、誰でも経験したことがあるでしょう。

逆に1回に食べる量を減らして食事回数を増やせば、血糖値の上昇幅が緩やかになって、おのずと体脂肪の蓄積、筋肉の減少、そして過度な食欲を抑えることができるのです。このような食事方法を「分食」と呼びます(図)。

分食のイメージ:トータルの食事量を変えずに、回数を増やすことで自然と体脂肪が減りやすくつきにくくなる

分食法の具体的なやり方

次に具体的な分食の方法についてご説明します。

まず多くの方がやるべきことは、朝食を充実させることです。とくに単身者は出社時間に合わせてギリギリまで寝て、朝はごく軽く食べる、コーヒーだけ飲む、あるいは何も食べないという方が少なくありません。朝食を抜くと睡眠時間も含めて12時間以上も食間が空くため、その間に筋肉が減ってしまいますし、食欲が増すので、結果、昼食を大量に摂って体脂肪が蓄積されやすくなります。

普段朝食を摂る習慣がない人は、「カフェラテと野菜ジュース」「ヨーグルトドリンクとスムージー」といった具合に、まずは飲み物だけでもかまいません。これに慣れてきたら、「カフェラテやヨーグルトドリンクをシリアルと牛乳」「野菜ジュースやスムージーをミニトマトとキュウリ」に替えるというふうに、少しずつ食事の形に変えていくのです。

エネルギー量や含まれる栄養素が同じでも、液状より固形のほうが消化吸収に時間がかかるので、腹持ちがよくなるのに加えて、噛みながら時間をかけて「味わう」ことで、心理的な食欲を満たすことができます。

朝食がしっかり摂れるようになったら、あるいはすでに朝食をしっかり摂っている人は、16時前後に間食を摂るようにします。今は12~13時頃に昼食を摂り、夕食は19時以降となっている方がほとんどでしょう。この場合、昼食と夕食まで食間が6時間以上空くことになり、血糖値が下がって筋肉の分解が進むとともに、食欲が増して夕食でドカ食いをしやすくなります。

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