NHKが絶対に死守したい「受信料ビジネス」の全貌 「強制サブスク」と化す公共放送のまやかし
動画制作を学ぶ江戸川大学2年の牧野奈々葉さんは「受信料制度の仕組みは理解しているが、まったく見ていないのに毎月必ず2000円ほど払わされるのは納得がいかない」と語る。牧野さんが普段よく見るのは、ユーチューブやアマゾンプライム・ビデオだ。
動画のサブスクリプション(定額料金制)サービスに慣れ親しんだ世代にとって、受信料制度は使わないのに請求される「強制サブスク」と化しているのだ。
NHKの受信料収入は2018年度の7122億円で頭打ちになり、2019年度以降は減少基調にある。
契約件数はピーク時の2019年度末に4212万件あったものが、2021年度末には4155万件と57万件減少した。22年度は上半期だけで契約件数が当初想定の4倍以上の約20万件減少した。減少スピードが加速している。
1月10日に公表した経営計画(修正版)で、NHKは2023年度の受信料収入を計画当初の6690億円から6240億円へと450億円も下方修正した。
取材情報に頼る議員
時代に合わなくなった受信料制度が維持されるのは、NHKと政治が長年培ってきた共存関係によるところが大きい。持ちつ持たれつの関係の中で、制度は温存されてきた。
NHKは政府から独立した機関であるにもかかわらず、予算と人事を実質的に政府に握られている。予算は毎年国会の承認が必要で、1〜3月の予算審議の時期になると、NHKの幹部らが与野党の国会議員の元へ説明に回る。予算案に同意してもらうためだ。国民からの広い支持を装うため、与野党どちらからも同意を取り付けることが重要な事柄だ。
予算だけではない。NHKの経営委員(12人)は、国会の承認を得て内閣総理大臣が任命する。会長は経営委員会が選出する仕組みだ。しかし安倍晋三政権では、首相に近しい人間が経営委員に相次いで選ばれた。