「これ以上880円を続けると味のブラッシュアップができません。1100円にすることでブラッシュアップできるための余地を作れます。遠くから来てくださる方もたくさんいるので、きちんと満足させないとダメだなと強く思っています。そういう経緯もあり、うちは『ご褒美ラーメン』的な立ち位置でやっていこうと決心しました」
1000円前と1000円後ではお客さんの層が変わったという。「1000円の壁」は食べる側にも当然あり、1000円以上なら来ないという人は必ず現れる。しかし、今までは来なかった客層が増え、結果としては客数が増えて、売り上げも上がっているという。金田さんは言う。
「大手チェーンで体力があれば安いままでも耐えられるかもしれませんが、個人店は値上げせざるをえない状況です。ですが、結果最後に値上げするのが個人店になると思います。それは上げるのが怖いから。
やると決めてしまえばやれるのですが、踏ん切りをつけるのが難しいところだと思います。ただ、店を長く続けるためには無理はできない。潰れないことがいちばんお客さんのためですから」
ラーメンの価格は“三極化”?
ラーメン評論家の大崎裕史さんは、今後のラーメンの価格は“三極化”していくだろうと予測する。
「手間と原価をかけているところはどんどん価格を上げていいと思いますし、1000円以下が望ましいと考えている店主の意見も尊重します。今後は500円前後、1000円前後(700-800円代含む)、1500円オーバーの三極化の流れになるかなと思います」
原材料の高騰の打撃をそのままラーメンの価格に反映していくわけではなく、上げるからにはその値段に見合ったクオリティーを追求していく。高価格のラーメンがだんだんと許容されていくことによって、ラーメンの味の進化も期待できる。一方で、庶民派価格を追求し続けるお店がどう戦っていき、生き残っていけるかも大事な視点だ。
これらのことは「ラーメン」というメニューが、「庶民の食べ物」として、ひとくくりにできなくなったということを意味する。
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