地球の歩き方が「ジョジョ」と組んだ納得の経緯 異色コラボの背景に、編集者の人生があった

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦氏は、作品を構想するうえで取材旅行を行っていることで知られているが、実在するかどうか定かではないお店や建物を1コマ1コマ、アタリをつけて確認。最新の地図やアクセス情報を掲載した。

「もともとガイドブック制作の検証作業でストリートビューは使ってきましたが、ここまで使い込んだのは初めてでしたね。本来、現地に行けば簡単な作業なんですが、杜王町のモデルである仙台市以外は取材に行けなかったので。昔はあったものの今はない建物もあるので、過去の『地球の歩き方』をさかのぼって調べたり、現地在住の地球の歩き方特派員にも調査協力してもらったりしました。さりげなく描きこまれたワインの銘柄などもモデルがないか確認しています」

そうした苦労の甲斐もあって、1冊の『地球の歩き方』として十分な情報量を供給できたようだが、それだけのネタを提供する『ジョジョ』という作品もすごい。

『地球の歩き方』シリーズでは定番の巻末コーナー「旅の準備と技術」も、『地球の歩き方 JOJO』では『ジョジョ』仕様だが、内容的には持ち物や服装、交通などのおなじみの項目を当てはめるかたちで成立したという。

「普通に漫画のストーリーを追うぶんには意識しないところですが、『ジョジョ』という作品のすごさを改めて実感しました。1冊の旅行ガイドブックに耐えるディテールがあるからこそ、漫画の読者は作品の世界に入っていけるんだなと。ラフ段階ではもう少し文字を大きくする予定でしたが、載せたい情報がありすぎて、結果的に文字サイズも下げています」

SNSでの反響は…

発売後、SNSなどでは「『ジョジョ』愛にあふれる1冊」「このガイドブックが初めて買った『地球の歩き方』」といった声も多く見受けられたそうだ。

「コラボの相乗効果で新たな読者層を開拓でき、従来の『地球の歩き方』読者にも違う観点で旅の新しい楽しみ方が生まれたかなと。“ギフト需要”と言っていいのか、夫婦間でのプレゼント用に購入される方も少なくないようで、従来と少し違う売れ方もしていますね」

次ページ「アイデアを否定しない文化」も大きかった
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事