「セーラームーンの街並み」に隠された深い解釈 「スモールワールズTOKYO」で表現される世界

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宇宙センターのエリアでは定期的にロケットも打ちあがる(撮影:梅谷秀司)

驚くほど小さな指先サイズの人、食べもの、小物から自然風景まで、本物と見間違えるほど精巧に作られたミニチュアアート。その人気が近年、高まっている。

コロナ自粛の影響で、ミニチュアを自宅に飾って楽しむ人、市販のキットセットでドールハウスを作る人も増えているという。このブームの中、6月に東京有明にオープンしたのが、世界最大級のミニチュアテーマパーク「スモールワールズTOKYO」だ。

日本を代表するプロモデラーがリード

「スモールワールズTOKYO」のプロジェクトを企画開発段階からリードしてきたのは、日本を代表するプロモデラーの金子辰也さん。金子さんは、ミニチュアの世界で物語を表現する「情景模型」のあり方を確立した、ジオラマ界の第一人者でもある。

「僕はミリタリー模型専門誌『アーマーモデリング』の編集部にいたんですが、近藤さん(スモールワールズ代表取締役の近藤正拡氏)から『新規事業を手伝いに来てくれない?』と誘われまして。大規模なプロジェクトなので、『やるなら両脚突っ込むよ!』と言って65歳で転職したのですが、友人には『その年でよく両脚突っ込んだね!』ってびっくりされました(笑)」

そう話しながら金子さんが案内してくれたのは、縮尺80分の1(一部ほかの縮尺を含む)で再現された世界。「エヴァンゲリオン」の基地や宇宙センターのある街など、全体は6つのエリアからなるが、なかでも人気が高いのは「美少女戦士セーラームーン」の世界だ。

かつての麻布十番の町並みが精巧に再現されている(撮影:梅谷秀司)
街に浮かび上がるセーラームーン(撮影:梅谷秀司)
よく見るとセーラームーンが街中にも紛れ込んでいる(撮影:梅谷秀司)

ここでは、セーラームーンの舞台となった1990年代の東京麻布十番の街並みを再現。当時とそっくりの商店や住宅が建ち並び、老若男女さまざまな住民たちが生活している。その中に、セーラームーンのヒロインたちも紛れ込んでいるため、若い女性やカップルが身を乗り出してのぞき込むように見ている。

「ミニチュアの住人たちと同じ目線でこの世界への没入感を楽しんでほしいんです。そのためには、人の暮らしや営みが肌で感じられるリアリティーが必要なので、ミニチュアの細部に徹底的にこだわりました。

例えば、あそこにある中華屋さん、換気扇の下が油でベタベタしているでしょ? マンションの部屋にはカーテンがついていて、ベランダには室外機があって壁に配管も通っています。お店の看板やロゴがサビたり、ビルの壁が汚れたりしているのも、ウェザリングと呼ばれる技法であえて経年変化の風合いを再現しているんですよ」

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