「セーラームーンの街並み」に隠された深い解釈 「スモールワールズTOKYO」で表現される世界

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スモールワールズTOKYOは、エヴァンゲリオン格納庫エリアも見どころだ(撮影:梅谷秀司)

「そもそも人間には本能的に、小さなものを愛でる習性がありますよね。赤ちゃんはもちろん、仔犬や仔猫も、ライオンやゾウの赤ちゃんだってかわいい。小さくてかわいいものを見て嫌な気分になる人って、あまりいないと思うんですよ。もっと広く考えれば、海外でも人気がある盆栽もそうです。京都の龍安寺の石庭も、カンボジアのアンコールワットも、宇宙を縮小して表現しているという意味では、ある種のミニチュアですからね」

SNS上では日々小動物の動画が拡散されている。キーホルダーやぬいぐるみのキャラクターグッズだってミニチュアの仲間。私たちは日頃から小さなものを愛でて楽しんでいるのだ。

「日々、生活のためだけに働いて、食べて、寝るだけの毎日ってつまらないじゃないですか。誰に何と言われても“自分が好きなものは好き”っていう価値観だけは大切にしている人って多いと思うんです。僕にとってはそれがジオラマでした。結局、やりたいことだけ考えて生きてきたから、大人になりきれないままこの年になっちゃったんでしょうけど(笑)」

まだまだ広がる「構想」

そんな金子さんにとって「スモールワールズTOKYO」は、今までの集大成として取り組んできた一大プロジェクト。だが、「まだまだ、ここからがスタートなので、新しいこともいろいろやっていきますよ」とのこと。一方で、個人的に作りたい作品のことも頭から離れない様子だ。

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「僕はもう孫が4人いるので、死ぬまでにあと作品がいくつ作れるかな?と思っちゃうんですよね。今考えているのは、生き物の生と死をテーマにした、海を題材にしたシリーズです。構想はもう考えていて、絵も完璧にできていて、材料も買いました。あとは作るだけなんですけど、今は時間がないので、それがいちばんの悩みどころですね」

細かいことはネタバレになるのでここでは書けないが、新しい作品の構想について語っているときがいちばん楽しそうに見えた金子さん。ストレスなんてなさそうだ。

コロナ禍で自粛モードの夏休み。ミニチュアを見るもよし、作るもよし。小さきものたちの世界を楽しんでみるのもいいかもしれない。

樺山 美夏 ライター・エディター

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かばやま みか / Mika Kabayama

リクルート入社後、『ダ・ヴィンチ』編集部を経てフリーランスのライター・エディターとして独立。主に、ライフスタイル、ビジネス、教育、カルチャーの分野でインタビュー記事や書籍のライティングを手がける。

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