地球の歩き方が「ジョジョ」と組んだ納得の経緯 異色コラボの背景に、編集者の人生があった

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自身も学生時代から旅行好きで『地球の歩き方』を愛用していた由良氏は、2000年にダイヤモンド・ビッグ社に入社。2年間の営業職を経て、入社3年目の2002年に念願の編集部へ配属となる。

由良暁世(ゆら・あきよ):1977年生まれ。広島県出身。早稲田大学第一文学演劇映像専修を経て、2000年、ダイヤモンド・ビッグ社入社。営業部を経て編集部に異動。『aruco』シリーズの立ち上げや『地球の歩き方フランス』などの編纂に関わる。2021年に地球の歩き方はGakkenグループに。現在はコンテンツ事業部出版編集室室長を務めるかたわら、ヨーロッパエリアのガイドブックを中心に『旅の図鑑』シリーズなども担当(撮影:今井康一)

ポケットサイズのガイドブックシリーズの立ち上げに携わり、ガイドブック制作を1から学んだ後、『地球の歩き方』本体ではヨーロッパ方面を担当。2010年3月に創刊した、『aruco』シリーズをイチから立ち上げた。

「『aruco』シリーズは何度もリピートしている国・エリアや初めて訪れる土地でも、定番の観光スポットだけでは少し物足りないという人に向けた情報を、女性目線で載せるというコンセプト。

『aruco』シリーズでも<『テルマエ・ロマエ』に学ぶ古代ローマ人の生活とは?><“ベルばら”の名場面でたどる憧れのヴェルサイユ宮殿>など、漫画を通してその国の歴史や文化伝える画を作ってきました」

もともと由良氏は少女漫画なども含めて漫画全般が好きで、2つ上の兄の影響で小学生時代から『週刊少年ジャンプ』読者だったらしく、『ジョジョの奇妙な冒険 』は1987年の掲載当時からリアルタイムで読んでいたという。

「子どもの頃はアガサ・クリスティなど海外ミステリーにもハマっていましたが、小4の頃から読み始めた『ジョジョ』も、海外が舞台で少し怖いミステリー的な要素があり、すぐ引き込まれていきました。いま思えば、海外への憧れみたいなものも『ジョジョ』から影響を受けていて、海外旅行に興味を持つきっかけの1つになっているところもありますね」

ブランド存続の危機が絶好のタイミングに

「漫画から学べることってたくさんあるし、前々から旅行ガイドブックと漫画は相性がいいと思っていて。いつか丸ごと1冊使って漫画コラボできたらとは漠然と考えていました。

ただ、『地球の歩き方』は1〜2年ごとに改訂作業があり、その延長線上で新刊などの制作にも追われていたため、なかなか実現するエネルギーも必然性も旧社時代はありませんでした」

由良氏が立ち上げた、『aruco』シリーズ。女性目線で載せるというコンセプトがウケて、人気シリーズに(撮影:今井康一)

しかし、コロナ禍で海外取材ができなくなると主力商品である『地球の歩き方』の制作がストップ。ブランドの存続自体が危ぶまれる窮地に陥り、編集部では他社とのコラボ企画を検討することになった。

次ページ窮地のなか、「今しかない」と漫画コラボを実現
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