「ファミリア」が描く"日本で生きる移民"の現実 成島出監督に作品制作の経緯や背景を聞いた

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ファミリアの1シーン(©2022「ファミリア」製作委員会)
初老の陶芸家とその息子、そして若き在日ブラジル人青年たちの心の交流を描いた『ファミリア』が2023年1月6日より公開中だ。ブラジル人が多く住む愛知県豊田市の保見団地がモデルの本作は、在日ブラジル人が数多く出演し、彼らと日本人が共生しようとする姿を描く。今回は本作監督の成島出さんに、作品制作の経緯やその背景などについて話を聞いた。

 

【あらすじ】
山里にひとりで暮らす陶器職人の神谷誠治(役所広司)のもとに、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任中の息子・学(吉沢亮)が、婚約者ナディア(アリまらい果)を連れて一時帰国した。学は会社を辞めて窯業を継ぐと宣言するが、誠治は大反対。一方、半グレ集団から追われていた隣町の団地に住む在日ブラジル人の青年マルコス(サガエルカス)は、偶然助けてくれた誠治に亡き父の姿を重ね、焼き物の仕事に興味を持つように。そんな中、3カ月後に帰国を約束しアルジェリアに戻った学とナディアをある悲劇が襲う。

――初めてプロット(物語の筋立て)を読んだときの感想についてお聞かせください。

プロットを読んですぐに「映画で描いてみたい」と思いました。この物語は愛知県・瀬戸市の隣の豊田市にあるブラジル人が多く住む保見団地が舞台になっていますが、僕も外国人がたくさんいる東京・大久保に長く住んでいたんです。

そのときに中国、韓国の人と仲良くなり、「大久保村」と呼んで家族同然の付き合いをしていました。仲間が病気で亡くなるときには、朝4時、5時まで病院にいて立ち会いました。もちろん、まったく血はつながっていません。

その頃、「韓国人は帰れ!」というヘイトスピーチが起きていたのですが、僕たちは中国人、韓国人、日本人同士で親友になっているのに、なぜ「韓国へ帰れ」と、簡単に言えるのだろうかとやるせない気持ちになりました。

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