「JASSOの職員たちにいろいろと相談しているうちに、月々の返済金額を少なくする『減額返還』のほかにも、『在学猶予』という制度があることを教えてもらいました。これは社会人でも大学などに入学すれば、学生という扱いになるため、奨学金の返済を遅らせられるというものです。
早速、私もその話に飛びついて、月々の返済をいったん停止したうえで、各種書類を用意して、放送大学への入学手続きを取りました。『毎月の返済を停止しないと、在学猶予は適応されない』とは、JASSOの職員に言われましたからね」
間違った説明をされてしまった…?
ところが、申請書類をJASSOに送ったところ、その助言をくれた職員とは、別の者から「滞納している人は、そもそも猶予できない」と、告げられてしまう。どうやら、吉崎さんの場合は、その時点で彼が滞納していた分を一括で返済しない限り、在学猶予は適応されないのだという。
「どうして、最初にそれを言ってくれなかったのか……。『録音データを確認してほしい』と散々食い下がったため、JASSOから『間違えた案内をしてしまったこと』への謝罪はありましたが、放送大学の入学金については『ご自身の意思で入学されたんでしょう? だったら、責任は負えません』と言われてしまいました。
さらには、当初JASSOの職員から『手続きのために、返済を停止しておいてほしい』と言われたのに、結果的に私が『勝手に返済を停止させた』ということになってしまい、延滞金がプラスされてしまいました。
この一連のやり取りのせいで、JASSOには非常に無責任という印象を覚えてしまいます。電話対応した人が自分の判断で間違った案内をしているケースは十分にあり得るし、連携がほとんど取れていないように感じました」
本連載は奨学金を「自己投資」として受給し、人生を好転させた返済当事者を多く紹介している。もはやインフラと化したJASSOが果たす役割は小さくなく、筆者としても批判ありきで彼らに言及するつもりはない。奨学金を借りるリスクばかりを強調することは、いたずらに高校生を怯えさせるだけで、大学進学しないことのデメリットにも平等に目を向けるべきだと考えている。
しかし、一方でその制度の複雑さ、運用における柔軟性のなさには、改善の余地があるのも事実だろう。
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