脳死・心停止での臓器の斡旋を行う日本で唯一の機関である日本臓器移植ネットワーク(JOT)の報告によると、1995年4月から2022年6月の間に臓器提供をした人の数は、2550件。最も多い年が2019年の125件だ。コロナ禍の影響で2020年、21年は70件台に減少。22年は100件程度になると推測されている。
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提供者の内訳を見ると、2010年の法改正を受けて、それまでは年間で数例ほどしか行われていなかった脳死での提供が増加した。一方で、心停止による提供は減っている。両者を合わせた臓器提供の実数は、実は25年前に法律ができた当初からあまり増えておらず、年間100件程度にとどまっている。
極端に少ない日本の臓器提供
海外と比較しても、臓器提供の数は圧倒的に少ない。
国際的な臓器提供・移植のデータベースであるIRODaT(International Registry on Organ Donation and Transplantation)の人口100万人あたりの臓器提供者の国際比較(2021年)を見てみる。最も多いのがアメリカで41.88人、次がスペインで40.2人。日本は0.62人となっている。ちなみに隣国の韓国は8.56人だ。
なぜ、海外とこれほど差があるのか。移植コーディネーターの経験があり、海外の臓器提供・移植事情を知る藤田医科大学保健衛生学部看護学科准教授の朝居朋子さんは、こう説明する。
「アメリカでは、脳死状態や亡くなった方がいる場合、医療機関が移植コーディネーターのいる団体に通報する制度があります。そして、コーディネーターが“オプション提示(臓器提供の機会があることを家族に伝えること)”をします。通報は医療機関の義務で、導入当時は医療機関側の反発もあったそうですが、今はそれが定着して、アメリカの移植医療を支えています」
アメリカや韓国は「提供を希望する」という意思がある人が提供する「オプトイン」方式が取られている一方、スペインは反対に「提供を希望しない」という意思を示していなければ提供が前提となる「オプトアウト」方式がとられている。スペイン以外にも、IRODaTで上位の国は、オプトアウト方式がとられていることが多いという。
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