職場のざんねんな人とどうにか共存する為の心得 人に好かれる「聞き上手」、伝え方の順番も大切

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「伝える」際、順番・順序はとても重要です。なぜなら人には「聞きたい順番=気持ちの動線」があるから。したがって、聞きたいことが相手の口からなかなか出てこなかったりすると、じらされているように感じることもあるわけです。

たとえば、こちらが伝えるべき商品のポイントが価格だったとしましょう。一例として、ダイソンの掃除機を思い浮かべてください。ダイソンの掃除機が出た当時、かなり高めの価格設定でした。しかし、価格の高さを補って余りあるくらい性能が秀でてもいました。

この場合であれば、価格を先に伝える必要があります。「この掃除機は○万円です」と価格をズバリ伝え、そのうえで「でもこんなに高性能! 国産品にはない素晴らしい性能が備わっているよ!」というべきだということ。

性能の話を先にして、期待値を上げに上げたうえで最後に金額を示すと、「こんな値段じゃ買えない!」と反感を買ってしまう可能性があります。

そのため、こうした「価格が高いけれども圧倒的に高性能」な製品の場合は、価格を最初に伝え、そのうえで期待値を超える実力を示したほうがいいわけです。すなわちそれが、「順番にこだわる」という考え方。

メッセージは物語で包む

メッセージを伝えるとき、「物語」はとても有効です。なぜなら人は多くの場合、小さなころから昔話やおとぎ話を読み聞かされて育った経験を持っているから。

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物語の強みは主人公になれることです。自分自身を主人公に置き換え、なぞらえ、“化体(けたい)”させることができるわけです。物語は、他人事ではなく、自分のこととして捉えてもらいやすいのです。

そして物語の持つ最大の強みは、「人は物語を最後まで聞きたくなるようにできている」ことだと著者は指摘しています。物語は最後まで行かないと納得できないものです。だからこそ、最後まで聞こうとしてしまうわけです。

したがって、自分の物語を語ることが意味を持つのです。

とはいえ、たいしたストーリーでなくても問題はないようです。ちょっとした物語を語るだけで、相手の気持ちは前のめりになるというのです。

つまりはちょっとした工夫で伝え方は円滑になるでしょう。

Points
・物事をうまく伝えるには「正しい伝え方」が大切
・ものをうまく伝えるには順番が大切
・メッセージは物語で伝える
(85ページより)
印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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