「忖度」「炎上」などの影響で、思いのままに語りにくい風潮が強くなり、ことばの力を発揮しづらくなっているのが現代です。本書は、博報堂でコピーやCMに携わりつつ、スピーチライターとして政治家や企業トップのスピーチも書いてきた著者が、そうした悩みに対して自分なりの解決策を示した一冊。
ことばが出てこないのは、声が出ていないから!
ことばがスラスラ出てこない人が無口から抜け出すためには、人前で話すこと以前に、「声を出す」ことが大事だと著者は主張しています。
その手段のひとつが、「ひとりごと」。大きな声でひとりごとをいってみるなど、常に沈黙を破る訓練をしておくといいというのです。著者によれば「ひとりごと」は、Zoomのチャット機能のようなもの。つまり、普段の生活のなかで「ひとりチャット」をする機会を増やそうという考え方です。
「ひとりチャット」で沈黙を破れるようになったら、次は対人コミュニケーション。とはいえ大げさなものではなく、本書ですすめられているのは「挨拶をする」というシンプルな方法。ちなみに漢字の「挨」と「拶」には、ともに「押す」という意味があります。その場の空気を押して、声で場を支配するのが挨拶なのです。逆にいえば、大きな声で挨拶をしないと、はじめから相手の支配する空気に収まってしまう。そのため交渉も、いい結果には結びつかないのです。
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