部下を動かせない上司が頻繁に口走る残念ワード 言葉が出てこない人は声を出すことから始めよう

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リーダーが変わるための方法のひとつが、口癖に注目すること。

そして、まず指摘されているのが「でも」「だって」です。「でも」「だって」を使うと、罪の意識や後悔を感じなくてすむかもしれませんが、成長からも遠ざかることになります。さらには、まわりの人のやる気を削いでしまう危険も。

そこで著者は、「でも」という口癖を「それなら」「じゃあ」にいいかえるべきだと主張しています。「それなら、試してみよう」「じゃあ、明日朝イチでやろう」というように。つまり、「いま、ここからどうするか」をイメージできることばを使うのです。また「だって」の代わりに使うべきは、「だからこそ」。「Aさんが反対していたからこそ、慎重に取り組んで絶対に成功させよう」など、うまくいかない原因よりも、うまくいく方法を探すという発想です。

他にも、やめるべきリーダーの口癖がいくつか紹介されています。

「わからない」「忙しい」に要注意

たとえば「わからない」は、思考停止、行動停止、責任放棄するために都合のいいワードです。しかし「わからない」と口にした瞬間から、それは苦手事項になってしまうはず。そこで、「わからない」ではなく「わからないからこそ」を使うべきだというのです。

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また、「忙しい」にも気をつけたいところ。誰にでも1日24時間は公平に与えられています。にもかかわらず「忙しい」と口にしてしまうのは、優先順位が不明確か、仕事を抱え込みすぎているから。そこで「忙しくて燃える」などポジティブな表現をすべきなのです。

こうして並べてみると、これらすべてが「言い訳」であることに気づきます。事実を見ずに、自分を正当化して言い訳をしているのです。

リーダーシップを発揮するために必要なのは、人を惹きつけたり動かしたりする特別な才能でも、高度なテクニックでもないと著者は断言しています。これらは、土台が整ったうえではじめて功を奏するもの。そんな土台を強固なものにするためにも、本書を参考にしたいところです。

Points
・部下を動かすのではなく、まずリーダーから変わる
・口癖を見なおすことが大切
・ネガティブな言い回しをしない
印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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