RX史上最強の「500h」をレクサスが重要視する訳 単なる高性能版ではないフラッグシップの役目

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RXの歴史を見ると、初代(1988年発売)と2代目(2003年発売)は北米市場が主体のモデルであり、日本と中国には3代目(2009年発売)から導入された(初代~2代目は日本で「ハリアー」として販売された)。

4代目は2015年発売され、今回が5代目となる。1998年から2022年9月末までの累積販売台数は、約95の国と地域で約362万台。RXは、レクサスのグローバルでのコアモデルなのだ。

4代目レクサス「RX」(写真:トヨタ自動車)

また、レクサスが示した新型RXの販売基準台数は、北米が月9000台、中国が月3700台、日本が月700台などとなっていて、グローバルでは月1万6300台と設定している。最大のマーケットとなる北米では、RXに高い信頼を寄せ、RXを乗り換え続ける「ロイヤルカスタマー」が多く、結果的にユーザー年齢層は上がっており、現在は60代が主流である。

しかし、北米ではその一方で、2000年前後に社会現象化した日本車などの改造車ブームを経験した、クルマ好きが多いジェネレーションX(1960年代中盤から70年代終盤生まれ)や、それに次ぐ世代のジェネレーションYが市場の中核年齢層になってきており、ハイパフォーマンスなRXのニーズが高まることも予想できる。

中国市場はどうか。RXユーザーの中心は30代中盤から40代で北米と比べるとかなり若く、ハイパフォーマンス系SUVへの関心はすでにかなり高い。そして日本のRXユーザー層は、40代から50代であり、近年は欧米メーカーのハイパフォーマンス系SUVにも興味を持つ年代である。

“これからのレクサス”を見た

そうしたグローバルでのユーザーニーズを考えると、RX500hを起点とした新しいRXのあり方をレクサスが考えるのは、至極自然なことだと思う。

山中湖周辺で試乗した「RX350"version L"」(筆者撮影)

最後に、今回RX500h "F SPORT Performance"をじっくり乗って、レクサスのBEV(電気自動車)の方向性が垣間見えたことも伝えておきたい。“電気じかけ”をあまり感じない「レクサス独自の電動車の走り味」を感じたのだ。

レクサスは2035年までに全モデルをBEVまたはFCEV(燃料電池車)にすると公言している。そのときに向け、これからも「レクサスらしさ」を自問自答しながら前進していくことだろう。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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