11月の発表が「マツダの覚悟」を示したと見る訳 3つの新会社とそれを支える地元企業との共生
マツダはいま、未来に向かう重大な岐路に立っている。「マツダがこれからどう進むべきか」という意識を、マツダの経営陣だけではなく、マツダに関わる一人ひとりが「自分事」として捉えている。
そこから見えてくるのは、マツダという企業としてのこれまでの生きざまをこれからも貫いていこう、という“マツダの覚悟”である――。
マツダは2022年11月22日、「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について」を発表した。ここで、自動車業界関係者と報道陣は“マツダの覚悟”を目の当たりにしたのだ。
それはマツダが主導役となって、広島を中心とした「中国地方の経済を本気で支えていく」という新たな事業の構築である。
具体的には、2030年以降のグローバルでの市場環境変化を見据えて、「MHHO Electric Drive」「Mazda Imasen Electric Drive」、そして「MCF Electric Drive」という3つの新会社を設立したのだ。自動車部品メーカー各社とモーターやインバータの先行技術開発や生産・組立技術の開発を行う、マツダ出資の会社である。
地元企業が抱える将来不安
マツダといえば、エンジンは当然のこと、変速機(トランスミッション)を内製化するなど、自動車の主要部品を自社内で“手のうち化”する数少ない自動車メーカーとして知られてきた。また、マツダに部品を納入する部品メーカーの多くは広島周辺を本拠地としており、こうした地元企業と2人3脚で部品開発や製造を行ってきた。
そんな中、自動車産業界では2010年中頃からCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス領域、電動化)による産業構造の大変革が始まり、これまで“マツダ頼み”で経営を行ってきた広島周辺の企業は、自社の将来に大きな不安を抱くようになる。
そこで、マツダを含めた産学官連携での各種の会議体でも、広島周辺産業のこれからについての検討を進めるようになった。
2010年代後半から2020年代に入ると、ESG投資(財務情報だけではなく、環境・社会性・ガバナンスを重視した投資)という大嵐がグローバルで吹き荒れ、さらにヨーロッパを起点とした電動化についての政治的な動きが加速。その余波がアメリカ、中国、そして日本に及んできた。さらに、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻の影響なども加わった。
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