ハイブリッド車(HEV)のパイオニア、トヨタ自動車の「プリウス」が7年ぶりにモデルチェンジし、5代目に進化した。
スタイリングを見てまず感じたのは、賛否両論だった先代の面影がなくなり、大ヒットした2代目や3代目の面影を取り戻したということ。新型のデザインコンセプトでもある「モノフォルムシルエット」が、そう感じさせるのだ。
モノフォルムシルエットとは、フロントフードとフロントウインドウが一直線につながり、リアゲートまでスムーズに線が流れていくフォルムのことで、プリウスは2代目以降これを継承し、新型にも受け継いだとしている。
ただし先代は、フロントフードとウインドウの間に少し角度が付いていた。これが新型では、再び一直線になった。そのため、2代目登場時にデザインの説明で使われた「トライアングルシルエット」、つまりルーフの頂点から前後にスロープが伸びていくようなプロポーションが復活している。
2/3代目の雰囲気+低さ
厳密に見ていくと、トライアングルの頂点は世代によって違う。
2代目はドライバーの頭上にあったが、3代目になるとセンターピラーの後ろにまで移動。先代では再びドライバーの頭上あたりに戻したものの、新型は3代目よりさらに後ろ、リアドアの真ん中ぐらいまで下がっている。
つまり、この点では3代目に近いと言えそうだが、キャラクターラインがなくすっきりしたサイドパネルは2代目を思わせる。
サイドシルのラインはリアフェンダーにかけて跳ね上げ、躍動感を表現しているが、この手法は「クラウンクロスオーバー」など多くの車種で見られる最近のトレンドであり、それ以外は大ヒットした2/3代目の雰囲気を取り戻したと言える。
しかし、歴代と大きく違うところもある。“低さ”だ。
2WD・Zグレードのボディサイズを先代と比べると、全長は25mm伸びた4600mm、全幅は20mm幅広い1780mm、全高は40mm低い1430mmとなっている。2/3代目の全高は先代よりさらに高い1490mmだったので、印象はかなり違う。
発表資料には、スタイリングについて「『ワクワクする』『エモーショナル』なデザインを目指した」と書いてある。その象徴が、“低さ”ではないかと考えている。
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