このデザイン、たしかに「プリウス」だとわかる。しかし、大きく傾斜したフロントガラスや「クラウン クロスオーバー」以上に細く鋭いヘッドライトは、まるでデザイナーが最初に描いたイメージスケッチのよう。市販車、しかも量販4ドア車として考えると、“攻めすぎ”なのではないか――。
2022年11月16日、5世代目となる新型「プリウス」が、世界初公開された。
「クラウン クロスオーバー」や「ヴォクシー」をはじめ、ここ最近のトヨタ車は攻めたデザインを採用している。それらと比較しても、この新型プリウスは前衛的だ。トヨタは、この新型プリウスについて、次のように語る。
「『次の25年もお客様に愛され続けるために、プリウスはどうあるべきか。』開発チームはプリウスのあり方をゼロから考えました。プリウス自身が生まれ変わり、そしてもっとハイブリッドの魅力を知っていただきたいという想いで生み出されたコンセプトが『Hybrid Reborn』です」
「この方向性」を選んだワケ
「プリウスはどうあるべきか」。この問いを考えるには、プリウスの歴史を振り返ってみる必要がある。
プリウスは、1997年に“世界初の量産ハイブリッド車”として登場した、ハイブリッド車のパイオニアだ。日本はもとより、世界でも大きな存在感を放ってきたトヨタの代表モデルの1つで、日本国内では3代目が発売された2009年から4年連続、4代目となった2016年からも2年連続で「乗用車販売台数ナンバーワン」を記録している。
しかし、コンパクトカーからSUV、ミニバンまで、あらゆる車種にハイブリッド仕様が展開されるようになり、ここ数年は鳴りを潜めてたのも事実。「唯一無二のハイブリッド車」だったのが、「数あるハイブリッド車の中の1つ」になった今、「プリウスはどうあるべきか」トヨタ開発陣が頭を悩ませたことは、容易に想像できる。
進化の方向性は、他にもあっただろう。「プレミオ」や「マークX」の生産が終了した今、セダンらしいスタイリングをする方法もあっただろうし、時流に乗ってクラウンのようにクロスオーバー化する手法もあったはず。しかし、その中でトヨタ開発陣が選んだのは、“プリウスらしさの継承”だった。
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