新型プリウス「このデザイン」になった深いワケ 「低さ」に見る決意と社内「立ち位置」の変化

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また、ファミリーカーの主流がSUVになりつつある中で、セダンあるいはハッチバックであるプリウスは、パーソナルカーとしての部分を強調すべく“低さ”にこだわったのではないかとも思った。

リアドアのハンドルを窓枠に埋め込み、クーペのような見た目にしていることからも、その意志が感じられる。とはいえ、単に低くしただけでは、キャビンが狭くなる。

斜め後方から見ると、クーペのようなルーフラインがよくわかる(写真:トヨタ自動車)

そこで新型は、前述のようにルーフの頂点を後ろに移動させるとともに、ホイールベースを50mm伸ばした。真横からの図面を見ると、フロントオーバーハングを25mm伸ばし、後輪を50mm後方にずらしたようなディメンションになっている。

そのおかげで、新型プリウスの後席は、見た目ほどには狭くない。とはいえ、ドアの開口部は限られているので、やはりファミリーカーというより、パーソナルカーとして捉えるのが正解だろう。

トレンドの先端をゆくヘッドランプ

フロントマスクも、2代目や3代目を思わせる。こちらは先代が当初、大胆な造形を提案したことに対してネガティブな声が多く、あとに大規模なマイナーチェンジを行ったことを反映しているのかもしれない。

ヘッドランプについては、「ハンマーヘッドモチーフをさらに際立たせるデザイン」という説明があった。

薄型ヘッドランプはLEDだからこそ実現した形状(写真:トヨタ自動車)

ハンマーヘッドという表現は、電気自動車(BEV)の「bZ4X」でも見られる。同車のニュースリリースでは「フードからヘッドランプ上部へと連続する、特徴的なハンマーヘッド形状で独自性にチャレンジ」としていた。

bZ4Xと異なるのは、上下に薄いヘッドランプの端を折り返して、上に回り込ませたこと。トヨタでは「クラウンスポーツ」にも取り入れており、フェラーリ初の4ドアとなった「プロサングエ」も採用しているモチーフだ。

今後のトレンドになるかもしれないこの手法は、大きな矩形のレンズをLEDの輪郭で表現したものだと思っている。近年の「MINI」などのように、丸型ヘッドランプの外縁だけを光らせる手法と同じだ。つまり、矩形のヘッドランプを据えた2/3代目の現代的処理と考えられる。

リアは、薄い横長のコンビランプを黒い横長のパネルの中で光らせるという、オーソドックスな処理を採用した。

リアコンビランプは横一直線となり、これまでと雰囲気が変わった(写真:トヨタ自動車)

2代目から先代の前期型まで継承した縦長ではなくなり、プリウスらしさが薄れたと感じている。

付け加えれば、新型はHEVとプラグインハイブリッド車のPHEV(先代までのPHVから呼び名を変えた)で、フロント/リアまわりが共通になったことも特徴だ。

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