1月にトヨタ「ノア/ヴォクシー」、6月にホンダ「ステップワゴン」と、ミドルサイズミニバンのフルモデルチェンジが相次いだ2022年、最後に残っていた“あのクルマ”の新型モデルが11月28日発表された。日産「セレナ」だ先代セレナ(C27型)の登場が2016年だったから、6年ぶりのフルモデルチェンジである。
なによりも先に目につくのは、面積を拡大し、ヘッドライトと同一面化したフロントグリルだろう。そして、ヘッドライトとサイドウインドウが、ガーニッシュでつながるデザインも新しい。
しかし、そのままサイドに目をやると、ドアハンドル下にラインを持ち、クォーターでキックアップするモチーフは、先代と共通。ひと目でセレナだとわかるスタイルでの、登場である。
「バネットセレナ」と名乗っていた初代(C23型)から数えて6代目となる今作は、「家族との遠出を最大限楽しむためのミニバン」がコンセプトだという。
進化の仕方は「ごくまっとう」
e-POWERにプロパイロットにと、このところセレナの話題はテクノロジー面のものが多かった。これらの先進性は先代セレナをアピールするうえで、大きな役割を果たしたが、一方で「セレナとしてもっとも重要な『家族と楽しめる』のイメージが低下している点」が日産の課題だった。
たしかに、「モノより思い出。」のキャッチコピーで大ヒットした2代目(C24型)の時代を知っている人なら、当時とはセレナに対するイメージが変わってきたことを感じているかもしれない。フロントマスクのイメージを変えてきたのは、そんな背景もあるのだろう。
日産自動車の星野朝子副社長は、「家族全員でのかけがえのない時間を少しでも多く大切に過ごしてほしい、『セレナ』を通じて家族の時間を最大限楽しんでほしい、との想いでこの新型『セレナ』を企画・開発して参りました。『今日のお出かけ、楽しかったね!』、『今度はもっと遠くに行ってみたい!』、などといった親子の笑顔溢れる会話が自然と生まれるようなドライブを楽しんでいただきたい。新型『セレナ』には、そんな想いとこだわりを詰め込みました」と語る。
では、具体的に何が変わったのか。正直なところ、新開発プラットフォームを採用したノア/ヴォクシーや、デザインで原点回帰を図ったステップワゴンほど、ドラスティックなモデルチェンジはしていない。「ごくまっとうに進化した」という印象だ。しかし、言い換えれば「先代のよさを残して、ネガをつぶしてきた」ともいえる。
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