5thプリウス登場も「BEVシフト混迷期」である訳 電動化戦略を見直さざるをえないメーカーの今
プリウスも、やっと肩の荷が下りたようだ――。
トヨタが2022年11月16日に都内で行った新型「プリウス」の世界発表会に参加し、デザイナーや各方面のエンジニアらと意見交換をして、そんな感想を持った。
1997年に“世界初の量産ハイブリッド車”として初代プリウスが誕生してから四半世紀が経過した今、電動車市場は様変わりし、トヨタとしてもプリウスの商品性を再定義せざるをえなくなったのだろう。
プリウスといえば長らく、いわゆる“エコカー”の代名詞であり、新車選びで迷ったら「とりあえずプリウス」といった万人向けの高性能次世代車という商品イメージだった。
それが、今回登場した第5世代モデルはスポーティな4ドアクーペであり、若者から中高年まで幅広い世代を対象とした“安全パイ”のオールマイティなクルマではない。会見会場で、トヨタ関係者の多くが「(商品性として)尖ったクルマ」という表現を使っていたことからも、それはうかがえる。
「万人向け」から「お客を選ぶクルマ」へ
一方、技術的な視点で見れば、先代モデルからの“正常進化”と呼ぶべきだろう。なぜならば、プラットフォームは先代モデルから採用したTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の改良だし、またパワートレインは「ノア/ヴォクシー」や「RAV4 PHEV」で採用したシリーズパラレルハイブリッドやプラグインハイブリッドのシステムと電池パックの改良版であるからだ。
デザイナーは、「先代モデルでは(万人向けという視点で)さまざまな制約要件があったが、今回はデザインとしての“シンプル”を追求することに徹した」と心のうちを表現する。実際に新型プリウスを見ると、造形物として尖っていて美的な魅力が強い。見方を変えると、スポーティかつ美的でありすぎることで「お客を選ぶクルマ」になったとも言える。
トヨタのラインナップの中では「ハイブリッドが当たり前」となり、さらに今後、数年間でBEV(電気自動車)のラインナップを急速に増やすことを宣言している今、プリウスの役目を変える必要があったのだろう。
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